「名選手、名監督にあらず」スポーツの世界でよく言われるこの言葉は、ビジネスにもそのまま当てはまります。 優秀なプレーヤーがリーダーになったとき、なぜチームの変革は止まってしまうのでしょうか。
「優秀だから、いいリーダーになるだろう」という期待
dazzly代表の筒井は、多くの組織が抱えるこの構造的な問題を指摘します。
優秀なプレーヤーだったから優秀なリーダーになってくれるだろう、と周囲も思ってしまう。でも実際には、優秀な方が必ずしもいいリーダーだったかと言われると、そうとも言えないと感じています。
営業成績が抜群だった人がマネジメントに就いたら、チームが活性化するどころかむしろ停滞した、こうした事例は珍しくありません。プレーヤーとリーダーでは、求められるものが根本的に異なるのです。
すぐに「正解」を出してしまう弊害
優秀なプレーヤーがリーダーになったとき、何が起こるのか。筒井は自身のメンバー時代の経験を踏まえて語ります。
優秀なプレーヤーだった人は、現場で何か問題が起こると、すぐに「こうすればいいよ」と正解を出してしまいます。
最初は助かりますが、それがずっと続くと「あの人がやってくれるからいいや」「聞けばいいや」と、正解待ちのチームになってしまいます。
答えが分かってしまうからこそ、つい教えてしまう。しかしその行為が、メンバーから考える機会を奪い、チーム全体の自律性を削いでいきます。
ロジックだけでは現場は動かない
さらに深刻なのは、優秀なプレーヤーが持つ思考のスタイルと、現場の現実とのギャップです。
ロジックで動く優秀な方は、聞かれたときも全部ロジックで返します。でも現場はやっぱり感情で動くんです。
どういう感情がハードルになっているのか、そういう部分を想像できないのではないかと感じます。
「なんでできないの?こうすればできるじゃん」
論理的には正しくても、感情面の壁を無視した指示は届きません。
メンバーも好きでできないわけではなく、何ができないのか自分でも分かっていない状態に陥っている可能性があります。
「なぜできないか分からない」と正直に言えるか
筒井は、自身が救われた経験をこう振り返ります。
優秀な方に「分からない」と言っていたとき、「ごめん、正直、筒井がなぜ分からないって言ってるか、俺には分からないんだよね」と言われたことがあります。
その時はとても気持ちよかったです。
「そうか、この人には分からないんだ」と思えて、じゃあ分かるように説明しようという気持ちになれました。
できる人が「自分には相手の困りごとが理解できない」と率直に認める。
それだけで、メンバーとの間に対話の糸口が生まれます。分からないふりをするのではなく、本当に分からないことを正直に伝える姿勢が、信頼関係の起点になるのです。
優秀なプレーヤーが陥りやすい思い込み
筒井は、優秀なプレーヤーがリーダーになったときに持ちがちな思い込みを整理します。
物事には何でも正解があると思い込んでしまうことです。
言葉にすれば伝わると信じている。
自分と同じ熱量でみんなが動いていると思っている。
こうした傾向があるのかなと感じます。
正解は一つではないかもしれません。
伝えたことと伝わっていることは違います。自分の熱量が周囲の標準ではありません。これらの前提を疑えないまま変革をリードしようとすると、一人で走り続けてチームは置き去りになってしまいます。
変革は一人では成し遂げられない
最後に筒井は、変革期のリーダーに求められるスタンスの転換を語ります。
自分が何でもかんでも手を出せばいいとか、正解を考えようというスタンスではなく、メンバーが見ている世界やぶち当たっている壁に目を向けてあげた方が、よほど前進していくのではないかと思います。
変革は一人のスーパープレーヤーが達成するものではありません。
チーム全員で課題に向き合い続けるにはどうすればいいか。
その問いに向き合うことが、次世代リーダーへの第一歩なのではないでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「「優秀なプレーヤー」がリーダーになると、なぜ変革は止まるのか?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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