「効率化」「タイパ」「コスパ」
無駄を削ることが正義とされる時代に、本当に削ってよいものまで削っていないでしょうか。
雑談も、寄り道も、すべて無駄だと切り捨てた先には、共創が生まれない組織が残ります。
効率を求めすぎた先に失われるもの
働き方改革やリモートワークの広がりの中で見えてきた課題をdazzly代表の筒井は指摘します。
対面で会わなくなったり、働く時間も短くなったり、効率化が進む中で、雑なコミュニケーション。
これまで取っていたような雑談がどんどんなくなっている。
実のあるコミュニケーションじゃなければいけないと思うようになって、そうでないものはしたくないという空気がある。
その結果、同じチームなのにやけにビジネスライクな関係になっている。
気心が知れているはずの仲間が、まるで違う会社の取引先のような距離感になってしまう。共に創る「共創」が止まってしまう危機を、筒井は感じています。
「有意義な無駄」という発想
では、無駄を全否定するのではなく、どう向き合えばよいのか。筒井が提案するのは逆転の発想です。
無駄ばかりとか無駄しか感じないのは嫌ですね、仕事ですから。
ただ、質のいい無駄・有意義な無駄というのは必要なのかもしれません。
それを取り入れられないだろうか?と考えてみるのも面白いんじゃないかと思います。
最近では生成AIの方が人間らしい言葉を返す場面すらある。「わかるよ」と寄り添い、「失礼しました」と謝る。
人間同士のコミュニケーションからこそ、そうした人間らしさが欠けてしまっているのではないか。
筒井のこの指摘は、効率化の行き着く先を鋭く突いています。
チャットに「雑談ルーム」を作る
具体的な実践として、筒井はチーム内での取り組みを紹介します。
コミュニケーションツールで雑談ルームを作って、そこで大いに雑談をしていました。
組織単位で作っている企業も多いと思うけれど、私の場合はチームで作って、チームでずっと雑談していたんです。結果的に関係性はすごく良くなるし、困ったこととかも言いやすかったですね。
さらに、チャットと対面を組み合わせるアプローチも実践していたと振り返ります。
遊び心を持って、まずチャットで話しかけてみて、返ってきたから今度は口頭で話しかけてみて、というようなことをしていました。
一見すると非効率に見えるやり取りが、チームの関係性を耕す土壌になっていたのです。
ミーティングの冒頭5分を「褒める時間」にする
筒井は、ミーティングの場にも有意義な無駄を取り入れていました。
ミーティングの冒頭でみんなに「今日あった嬉しかったこと」をどんな小さなことでもいいから言ってもらいました。
「自分を褒めたいこと」をテーマにやることもあリました。
当たり前の基準が高すぎるとどんどんしんどくなるので、「会社に来ただけで偉いよ自分」ぐらいのスタンスになってもらいたかったんですよね。
加えて、ストレングスファインダーなどの性格診断をチームのコミュニケーションに取り入れ、自己理解から他者理解へつなげる工夫もしていたと言います。
業務に直結はしないかもしれない。
しかし、仕事を進める上で自己理解・他者理解は不可欠なものです。
「メンタルパフォーマンス」という視点
効率重視の視点からは「最初の5分がもったいない」と映るかもしれません。
しかし筒井は、別の視点を提示します。
タイパとかコスパとか言いますけど、メンタルパフォーマンス──メンパみたいなもの。
最終的にはそれが一番大事だと思います。
モチベーションが上がっている時の作業量と、そうでない時とでは格段に違うので。チームメンバーの関係性もだいぶ響きますね。
1分1秒の効率を追求した結果、チーム全体のモチベーションが下がれば、結局は生産性が落ちる。
無駄に見える時間が、実はチームのエンジンを温めているのです。
無駄こそがチームを「チーム」にする
筒井は、チームビルディングにおける無駄の本質的な価値をこう締めくくります。
「明日からチームだよ」と言って、すぐにチームとして機能することはなかなかありません。
知らない人とフランクに話し合って「ここ困ってるんだよね」と言えるかというと、言えませんよね。
だからこそ、それを作り出すという意味でも、無駄は大事な働きをしてくれるんじゃないかと思います。
効率化が進む中で失われた雑なコミュニケーション。
それはチームを「チーム」たらしめるための、見えない接着剤だったのかもしれません。
無駄を排除するリーダーではなく、有意義な無駄を設計できるリーダーであること。
それが、共創する組織をつくる第一歩なのではないでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「「無駄」を設計できるリーダー、排除するリーダー」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部
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