「部下のやる気がない」「メンバーが受け身で困っている」こうした悩みをよく耳にします。
しかし、「やる気がない」は本当に事実でしょうか。
それとも、ある事象に対するあなたの解釈ではないでしょうか。
シンプルだが、できていない区別
代表の筒井は、事実と解釈の区別をこう整理します。
事実は誰が見ても一つのもの。解釈は無数、本当に人の数だけあります。
よく例えられるのがコップの水です。「半分入っている」も解釈、「半分しかない」も解釈。
事実とは「二百ミリリットルのコップに百ミリリットルの水が入っている」という、測定可能な状態のこと。
シンプルな話ですが、日常の中でこの区別をきちんと保てている人は多くありません。
日常的に過ごしていると、この区別ができないまま、いろんなことを問題だと捉えてしまったり、へこんでしまったりしている。
そんなことが起きているのではないかと思います。
IT現場で身についた「つまり何が起きているのか」という視点
筒井自身がこの区別を体得したのは、IT関連の仕事を通じてでした。
事象が発生した時に、「大変だ大変だ」と言っても何の解決にもならない。
相手は機械ですから。
何が起こっているのかを事実ベースで見ていかないと、対処のしようもないし対策も立てられない。
感情や解釈を挟む余地なく、起きていることを正確に把握する。そのスキルがIT現場で自然と鍛えられたと振り返ります。
「大問題」だと思っていたことが、相手にとっては許容範囲だった
この区別の重要性を決定的に実感したエピソードがあります。
あるとき、サイト運営中にサーバーがダウンして、サイトが止まってしまったことがあったんです。
「やばい、めちゃくちゃ怒られる」と思っていたんですけど、実際にお客さんに事実ベースで伝えたら、「それぐらいで済んで良かったですね」という反応だったんです。
自分では大問題だと解釈していたことが、相手にとっては許容範囲だった。
同じ事実でも、立場が変われば解釈はまるで違う。
この経験以降、事実と解釈をしっかり区別し、確認するようになったと語ります。
「やる気がない」の裏にある事実は何か
この区別は、部下に対する見方にも直結します。
「最近、誰々がやる気がないんだよね」「受け身で困ってるんだよね」と言われた時に、「どういう状態を見て、それをそう思いましたか?」「何が起こっていますか?」と聞くようにしています。
「やる気がない」も「受け身だ」も、すべて解釈です。
実際に何が起こっているのか、どんな行動が見られたのか、どんな発言があったのか、という事実に立ち返ることで、まったく異なる対処法が見えてくることがあります。
1on1で使える「事実を拾う問いかけ」
筒井は、この区別が1on1の場面でも強力に機能すると指摘します。
部下に「最近しんどいんです」と言われた時に、「そうなんだ、大変だね」と共感で済ませるのではなく、「何が起きてるの?」「今どういう状態なの?」と事実を拾える問いかけをしてみる。
事実を聞き出すことで、部下がその事実をどのように解釈しているかが見えてきます。そして「こういう見方もあるんじゃない?」と別の解釈を提示することもできる。難しいスキルではなく、事実を聞くだけで1on1の質が変わるのです。
解釈に閉じこもると、取り越し苦労が生まれる
最後に筒井は、この区別を日常的に意識することの大切さを強調します。
自分は今何を見て、どう思っているのか。
相手は今何を聞いてどう思っているのか。
そこを意識するだけで、見えるものが全然変わってきますし、コミュニケーションの質も変わってきます。
一人で解釈を膨らませていると、取り越し苦労や見当違いの方向に進んでしまうことがあります。
忙しい時、気が動転している時こそ、「つまり、何が起きているのか」と自分に問いかけてみる。このシンプルな区別が、判断の精度を確実に上げてくれるのではないでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「事実と解釈を区別する」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
Spotify:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

コメント