「部下の成長のために指導している」
そう信じている人ほど、気づかないうちに相手をコントロールしようとしていることがあります。
育成なのか、操作なのか。この区別を持たないまま部下と向き合い続けることの危うさについて考えます。
育成の裏側に潜む「操作したい」気持ち
人材育成や教育の場面で、ある区別が必要だとdazzly代表の筒井は指摘します。
育成とか教育の話でいくと、本来はメンバーの自立的な成長をしてほしいからだと思うんですけど、根本のところで、自分の思い通りにコントロールしたい、支配したいという気持ちはないですか?という話なんです。
表向きは「メンバーのため」と言いながら、実は自分の期待する成果を出させることが目的になっている。そうした状態に陥っていないかと問いかけます。
操作的なリーダーと、自立を促すリーダーの違い
この二つは具体的にどう異なるのでしょうか。筒井は複数の観点から整理します。
操作的なリーダーは、自立的な成長ではなく、自分の期待する目先の成果を指導の究極の目的にしてしまっています。一方で、本質的に自立を促す指導は、メンバーの成長という未来に焦点を当てています。
フォーカスしている時間軸が異なります。操作的なリーダーは短期的・目先的で、あくまでも自分が主体。
一方、成長を促すリーダーは長期的な視点を持ち、相手が主体です。
本来、育成とは相手が主人公であるはずなのに、いつの間にか自分が主人公になっている。そこに混同が生まれています。
口癖に「操作」が漏れ出ている
この区別は、日常的な言葉遣いに如実に表れると筒井は続けます。
口癖として表れているなと思うのが、メンバーに「やらせる」とか「やらせなければいけない」。
あと「本音を引き出す」とか、「意識を植え付ける」みたいな表現ですね。
これが育成や教育の文脈で出てくるのは違和感がありませんか?
「植え付ける」「引き出す」「やらせる」
これらはすべて、自分が主語の操作的な表現です。
成長とは本来、自分の頭で考え、トライし、失敗から学ぶプロセス。意識を植え付けるのは、育成ではなく自分のコピーを作ることに他なりません。
無意識の本音は、必ず相手に伝わる
さらに厄介なのは、操作的な意図が自分でも気づかないまま相手に伝わってしまうことです。
その漏れてる言葉を浴びている部下の皆さんは、無意識にでも「この人、自分に対してそういう思いなんだな」と感じ取りますよね。そこって伝わっちゃうんですよ。
どれだけうまく隠そうとしても、思考は言葉の端々や態度に滲み出ます。
「あなたの成長のため」という建前と、コントロールしたいという本音の不一致を感じ取った部下は、不信感を抱くようになります。
純粋な気持ちで「これが成長を促しているんだ」と思い込んでいる可能性もあります。だからこそ、立ち止まって、今自分は何をやろうとしているのか見つめて区別をする必要があるんです。
自覚なき操作は、自覚ある操作以上に危険です。本人は善意のつもりだからこそ、指摘されても気づきにくいのです。
隠すよりも、正直に伝える方がいい
では、どうすればいいのか。答えはシンプルです。
うまく隠そうとしない方がいいんだろうなと思います。
隠さず思ったことを言って、それで何かあったら責任を取って修正するなり、ごめんなさいと言う。その方がよほどいいのではないでしょうか。
「あなたの成長のため」とオブラートに包むよりも、「自分はこうした方がいいと思っている」と率直に伝える。そちらの方が、受け取る側もすっと受け入れやすい。建前を外して本音を出すことで、初めて対等なキャッチボールが成立するのです。
操作か育成か。その区別をつけるために、まず自分の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「部下を操作したいのか?自律を促したいのか?の区別」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
Spotify:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部
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