仕事をしていると、ついイライラしてしまう瞬間は誰にでもあります。しかし、私たちは、その感情を「なかったこと」にしようと必死になってはいないでしょうか。
抑え込んだイライラの奥に、実は大切なサインが隠れているとしたら。
あなたはそれを、見過ごしていませんか。
「リーダーは感情を出してはいけない」その常識は、正しいでしょうか?
ビジネスの現場では、感情を表に出すことがどこか「未熟さ」の証のように扱われがちです。
とりわけリーダーシップの話になると、求められるのは決まって冷静沈着さ。
みんなそれがいいと思っているし、自分自身もそう思っていた。dazzly代表の筒井も、その空気を長く肌で感じてきた一人です。
感情を抑える、出さない。それが積み重なっていくと、やがて「こんな感情を持ってはいけない」と自分に蓋をするようになります。
怒りが湧けば「アンガーマネジメントだ」と自分を戒め、一度でも声を荒げれば社会人失格の烙印を押されそうな、そんな不寛容さが日本のビジネス環境にはあります。
けれど、そこには強い違和感があると言います。
人として生きていく以上、感情って絶対に出てくるんです。
それは自然なことなので、抑える、蓋をする、こんな感情を持ってはいけない、というのは違うと思っていて。
感情が湧くこと自体は、抑え込むべき欠陥ではない。まずはその前提を、疑ってみる必要がありそうです。
「怒ってはいけない」と蓋をすると、何が起きるのでしょうか?
問題は、感情そのものではなく、その扱い方にあります。
落とし穴として指摘されるのは、感情をジャッジしてしまうことです。
感情自体をジャッジするよりも、「自分は今こういう感情なんだな」というところを、まず見つめてあげる、受け止めてあげる。
その扱い方が大事なんじゃないかなと思っています。
ジャッジしてしまうと、どうなるのでしょうか。「怒ってはいけないのに怒っている自分は良くない」と、自分を責めることにばかりエネルギーが向かいます。
その結果、なぜ怒っているのかという根本には戻らず、怒っている自分にだけ反応して対応しようとしてしまうのです。
周囲も、それを後押しします。「怒るなよ」「そんなに気にすることじゃないじゃん」。
善意の言葉が、かえって立ち止まる機会を奪っていく。
なぜその感情が湧き出てきたのかを見つめる行為をしないまま終わってしまい、もともとのきっかけは何だったんだっけ、というところに気づかないまま過ぎていくのです。
蓋をした感情は、消えてなくなるわけではありません。原因に触れられないまま、静かに積み重なっていきます。
感情は「ジャッジ」ではなく、「受け止める」もの
では、湧き上がった感情とどう向き合えばいいのでしょう。
繰り返し強調されるのは、感情には必ず「理由」があるという視点です。
何かに反応したから、自分はそういうリアクションを心がしてくれたわけであって、そこには必ず何かのサインが隠れているんです。
知らせてくれている。だから、それは何だろう、としっかり見てあげる。
イライラやモヤモヤは、単なる気分の問題ではありません。
やっぱりどこかで何かが起こっている。自分自身のことかもしれないし、現場のどこかで起きていることを、なんとなく感づいているのかもしれない。
その何かを、感情が代わりに教えてくれている。そう捉え直すと、風景が一変します。
つまり、イライラの根本原因までたどれれば、それは問題解決のチャンスになるということです。感情は排除すべきノイズではなく、読み解くべきサイン。この転換こそが、この回の核心にあります。
イライラの奥には、どんな「サイン」が隠れているのか
感情が知らせてくれるサインは、とりわけ現場の最前線に立つ人にとって、見過ごせない意味を持っています。最前線にいるほど、そのイライラは現場の何かしらの違和感に起因していることが多い。だからこそ本当に大事にしてほしい、と筒井はいいます。
自分のイライラを「なぜ、こんなに気になるのだろう」と掘り下げていく。すると、まだ言葉になっていないチームの綻び、業務の詰まり、噛み合わなさが姿を現すことがあります。
感情は、システムのどこかで流れが滞っていることを知らせる警告灯なのです。
だからこそ、イライラを「気にしすぎ」と片づけてしまうのは、もったいない。
弊社では、その一つひとつを、現場からのメッセージとして受け取る姿勢を大切にしています。
感情は「味わい尽くす」べき
とはいえ、頭で「サインだ」と理解しても、湧き上がった感情はそう簡単には収まりません。
ここで示されるのは、少し意外な方法です。
ちょっとしんどい作業にはなるんですけど、感情を味わい尽くすって、結構大事かなと思っていて。イライラや怒りも、ある程度出して、それなりに消化してあげないと。
中途半端に抑え込むほうが、かえってこじれる。
「本当にムカつく、何なの一体」と、やりきってしまう。そうして吐き出すと、ふっと我に返る瞬間が訪れます。
完全に沸騰させてしまってください。そうすると、「はっ」と我に返るんですよね。
なんで今この感情になったんだっけ、とようやく問える状態になれるんです。
これは、映画やドラマで思いきり泣いてすっきりする感覚に近いのかもしれません。
泣くだけ泣いて、「私、なんであんなに悲しかったんだろう」と冷静に振り返れるようになる。
生煮えのまま抑えるのではなく、完全に沸騰させてから、我に返る。
その順番に意味があるのです。
もちろん、周囲への配慮は欠かせません。
筒井自身も、腹が立つと「ちょっと外出てくるわ」と席を立つのが、実際にやってきた方法でした。
一人になれる部屋に行ってジタバタする、というのはよくやっていました。そうすると周りに八つ当たりせずに済んで、全部味わい尽くしてから、スッとした顔で戻ってこられるんです。
感情を扱えるチームは、どこまで育つのでしょうか?
面白いのは、この習慣がやがてチームの文化になっていく、という点です。かつて共に働いたメンバーとのエピソードが、それを物語っています。
だんだん周りが止めてくれるようになるんです。
「筒井さん、ちょっと待ってください。1時間ぐらい外に行ってきてください。今そのまま行動したら、絶対うまくいかないから」と。
「前もそれでうまくいったじゃないですか、思い出してください」って。
感情を悪いものとして隠すのではなく、お互いがお互いの感情を、扱えるものとして受け止め合う。
そういう関係性になってくれば、お互いがお互いの感情を悪いものとして扱わなくなります。
そこまでチームを育てていくという話にも通じてくる、というわけです。
感情を抑え込むことが「大人」なのではありません。
感情を受け止め、そこに隠れたサインを読み解き、チーム全体でそれを扱えるようになること。
それこそが、目詰まりを未然に防ぎ、組織を健やかに保つ力になります。
次にイライラが湧いてきたら、蓋をする前に、そっと問いかけてみてください。
「これは、何を知らせてくれているのだろう」と。
【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します
9月8日、dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します。
難航するプロジェクトの現場で実際に起きたことをもとに、組織が自走するためのリーダーの関わり方についてお話しする予定です。
タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」 〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜
日時:2026年9月8日(火)10:30〜11:10
▶︎ お申し込みはこちらから
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「自分の「感情」に蓋をしないマネジメント」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
Spotify:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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