「6秒数えて我慢」は間違い。怒りは消さずにガソリンに変える

仕事をしていれば、イライラも怒りも避けられません。けれど私たちは、その感情を「抑え込むべき厄介なもの」として、つい見て見ぬふりをしてしまいます。
抑え込んだ怒りは、本当に消えているのでしょうか。

目次

「イライラは、我慢して抑え込むべきもの」なのか

仕事ではさまざまな感情が起こる。それをどう処理していくか。
今回のテーマは、そんな何気ない雑談から生まれました。
前提として置かれているのは、「感情は誰にでも動くもの」という事実です。
プロジェクトはうまくいかないのが当たり前。だとすれば、日々はイライラの連続でもあります。

dazzly代表の筒井は、自身の日々をこう振り返ります。

感情が動かない日がない、という感じですね、やっぱり。
淡々と粛々と、という日はなかった気がします。今もそうですけれど。

感情が動くこと自体は、避けられません。だからこそ、と話は続きます。

せっかくだったら、その感情をガソリンにできたらいいな、と思ったりするんですよね。

抑え込んで消すのではなく、動くための燃料に変える。ここに、このテーマの出発点があります。

「怒らない人になる」がアンガーマネジメントのゴールなのか

イライラや怒りというキーワードで思い浮かぶのが、「アンガーマネジメント」です。
企業研修や管理職向けの講習でも取り上げられ、一時期は大きなトレンドにもなりました。
ただ、その受け取られ方には違和感があると言います。

アンガーマネジメントって、怒りを6秒数えて抑えるとか、我慢するとか、コントロールしなさい、という文脈で伝わっているな、そう解釈されているな、とすごく思っていて。でも、多分それは違うんだろうなと。

そこで今回、あらためて調べたところ、本来の意味はまったく別のものでした。

アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングなんです。
決して怒らない人になることではなく、怒る必要があることは適切に怒って、必要のないことは怒らなくて済むようになること。それが目的だと。

つまり、怒りをなくすことがゴールではありません
怒る必要のある場面では、きちんと怒っていい。その線引きを身につけることこそが、本来の狙いだというわけです。しかも「怒りの感情と上手に付き合う」と表現されている以上、怒りの感情があること自体は、もう大前提にされているのです。

「平気なふり」は、なぜ怒りを長引かせてしまうのか

多くの人は、怒りを「良くない感情」と捉えがちです。
怒りっぽい自分は嫌だし、かっこ悪い。だから見て見ぬふりをしてしまう。
何があっても大丈夫、とクールに構える大人に憧れて努力してみたけれど、結局うまくいかなかった。そんな実感が語られます。

問題は、抑え込んだあとに起こります。

抑え込めたとしても、後でその感情がマグマのように、自分の中でグズグズと煮えたぎったまま、深いところでずっと静まらずに残り続ける。
それは良くないことになっていた気がします。

平気なふりをしても、怒りは消えません。むしろ体の奥で温度を保ったまま、しつこく居座り続けます。だから、平気なふりは本当にしてはいけません。

それでも私たちは、つい「怒りっぽいより笑っていたい」と願ってしまう。
その願望こそが、「6秒数えて我慢する」という解釈のゆがみを生んでいるのではないでしょうか。
ありたい自分の姿から、本来の意味が少しずつずれてしまったのです。

怒りを消すのではなく「昇華させる」

では、抑え込まずにどうするのか。ここで持ち出されるのが、「昇華」という考え方です。
怒りの感情は、エネルギーとして非常に強い。だからこそ、消すのではなく方向を変える。

怒りの感情って、エネルギーとしては相当強いんです。むちゃくちゃ強い。
なので、これを自分を動かすためのガソリンにするために、エネルギーに変えるには、昇華させましょう、と。

「昇華」は、英語でサブリメーションと呼ばれる概念です。
芸術の世界で「自分の体験を作品に昇華させた」と言うときの、あの昇華にあたります。
怒りや不安といったネガティブなストレスや衝動を、社会的に認められる建設的・創造的なエネルギーに変換すること。
仕事への熱意でも、スポーツでも構いません。
そしてこれ自体が、心を守るための防衛機制の中で、最も成熟した健康的な対処法だと言われているのだそうです。

たとえば、特定の誰かの振る舞いに対して「なんだこの人は」と怒りを覚えてしまう。
人間である以上、誰にでもあることです。
その怒りを、押し殺すのでも垂れ流すのでもなく、建設的なエネルギーへと変えていく。
それが目指すゴールだと、弊社では捉えています。

感情を「味わいきる」ことから始める

昇華のために、まず何をすればいいのか。
経験から挙げられる第一歩は、意外なものでした。抑えることでも、忘れることでもありません。

昇華するために本当にまずやらなきゃいけないのが、感情を味わいきる、味わい尽くすというところ。それがやっぱり大事だな、というのは経験から言えます。

イライラしたら、本当にイライラする。「腹立つ、一体何なの」と、口に出してでも味わいきる。
むちゃくちゃかっこ悪い自分になるかもしれませんが、「めっちゃイライラする」「めっちゃ不安になる」と出しきってしまう。
逆に、見ないふりをして、なかったかのように扱うことが、昇華という観点では最もいけないのだと強調されます。

もちろん、味わいきるのは疲れますし、怖くもあります。
それでも意味があるのは、感情が「底を打つ」からです。
一人でブツブツと不満を言い続けていると、あるところで「あれ、まあいっか」とハッと我に返る瞬間が訪れる。
人間というのは本当に不思議なもので、感情はずっとは持続しない、というわけです。

「今日の怒りは今日のうちに」

感情は、出しきれば持続しません。ところが抑え込むと、事態は逆になります。

出したら持続しないけれど、抑え込んで見て見ぬふりをすると、ずっとマグマなんです。
20年前のことまで思い出して、再放送みたいにできてしまう。

だからこそ、勇気を出して味わいきる。
「今日の怒りは今日のうちに」
数日は持ち越してしまうこともあるけれど、それでも平気なふりをするよりはずっといい。
平気なふりをしているだけで、その怒りの感情がエネルギーに変わっているかというと、やはりそうではないからです。

怒りを消そうとするのではなく、味わいきり、底を打たせ、そして建設的なエネルギーへと昇華させていく。怒りは、抑え込む対象ではなく、自分を動かすためのガソリンなのです。
感情をうまく処理できるようになること。それが、本当の意味での大人への一歩なのかもしれません。

【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します

9月8日、dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します。難航するプロジェクトの現場で実際に起きたことをもとに、組織が自走するためのリーダーの関わり方についてお話しする予定です。

タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」 〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜

日時:2026年9月8日(火)10:30〜11:10

▶︎ お申し込みはこちらから

記事について

株式会社dazzlyの公式Podcast「怒りを抑え込まず、行動のエネルギーにする方法」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。

▶︎ 株式会社dazzly ホームページ

Podcast:

Apple Podcast
178.怒りを抑え込まず、行動のエネルギーにする方法 ポッドキャストのエピソード · DX時代の勝ちに行く組織マネジメント · 6月23日 · 16分

Spotify: 

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次