「女性だから」「男性だから」という言葉に、違和感を覚えたことはありませんか?
では、性別の違いをまったく見ないことが正解なのでしょうか。ある上司とのやりとりから、属性で人を決めつけず、その人自身を見るための視点を考えます。
言われなかった言葉が、個人として見ていた証拠
「私が出会った良い上司列伝」の一編として、今回はジェンダーバイアスとマネジメントを取り上げます。
きっかけは、dazzly代表の筒井自身の振り返りでした。
ジェンダーバイアスという言葉を聞いたとき、ふと自分はそういうものを受けてきただろうかと考えたことがあったといいます。
答えは、ゼロではない、でした。
上司ではない、少し距離のある人たちからは、それらしい言葉を受けています。
「お茶を入れてくれよ、女性が入れる方が美味しいからさ」と言われたことがあります。
ほかにも「料理とか作ってるのか」「女性だったら、そんなにカリカリしちゃダメだよ」といった言葉もありました。
「バリキャリ」「男勝り」といった呼ばれ方もありました。
ところが、こうした言葉を関わりの深かった上司たちからは受けていません。
当時は、今以上に性別による決めつけが日常の会話に入り込むこともありました。
だからこそ、日々近くで仕事をしていた上司たちから、そうした言葉をほとんど向けられなかったことが印象に残っています。
その接し方がよく表れている場面を、いまも覚えているといいます。飲みの席でのことでした。
後輩が「筒井さん、男勝りですからね」みたいなことを言ったんです。
そうしたら、その場に居合わせていた上司が「そんなことないよな、筒井は筒井のまま仕事してるよな」と言ったんです。
力を込めて訂正したわけでも、たしなめたわけでもありません。
会話の流れのなかで、さらりと差し込まれた一言でした。筒井が印象に残っているのは、その自然さでした。
その場だけ取り繕うように言ったのではなく、普段から「女性だから」「男性だから」と大きなくくりで見るのではなく、筒井個人として接していたからこそ出てきた言葉だったのではないか、と振り返ります。
だからこそ、自分も余計なことを意識せず、仕事に向き合えたのだといいます。
性別を見ないことが、正解ではない
一方で、性別の違いを一切見ないことが正しいのかというと、話はそう単純ではありません。
性別による違いがあることを認めることと、性別だけでその人を決めつけることは、別の話だからです。
まだ若手の頃、別の上司から教わったことがありました。
男女を一括りにして優劣をつけるのではなく、まず「違い」として捉えてみる。
そのうえで、その人自身を見ることが大切なのだという話でした。
その上司の説明は、さらにもう一歩先に進みます。
それをもう一歩突き詰めると、男性性と女性性というものの区別なんだよ、という話をされたんです。
男性性・女性性は、性別で決まらない
ここでいう「男性性・女性性」は、男性だからこう、女性だからこう、と性別によって人を分類するための考え方ではありませんでした。
筒井が当時教わったのは、一人の人間のなかに、いわゆる「男性的」「女性的」とされるさまざまな性質が混ざり合っている、と捉える考え方でした。
男性・女性というと、人間の個体の区別になります。
けれど男性性・女性性は性別によって決まるものではなく、エネルギーというか、いわゆる男性らしさ・女性らしさのようなものだ、という話でした。
そして重要だったのは、それを二者択一で考えないことでした。
男性だからといって男性性しかないのか、女性だからといって女性性しかないのか、そういうわけではありません。
男性の中にも男性性・女性性の両方が含まれていて、女性も同じだ、という話をされたんですね。
この話を聞いて筒井が腑に落ちたのは、性別からその人の振る舞いを決めつけなくてよくなることでした。
女性だからこう、男性だからこう、と考えるのではなく、「この人はどんな考え方をし、どんな反応をする人なのか」と、その人自身を見る。
筒井にとっては、性別という大きなくくりから一度離れて人を見るための、一つの考え方になりました。
どちらのエネルギーで反応するかを、選ぶ
この視点は、筒井自身の振り返りにも使われるようになりました。
ある時、クライアントとぶつかって怒られてしまい、その相談をしたことがあります。
返ってきたのは「それは完全に、男性性が強く出ちゃってるんだよ」という言葉でした。
「あなたはこういう人間だからダメだ」と人格を否定されたわけではありません。
自分がその場でどのような反応をしていたのかを、少し距離を置いて見直すための言葉として、筒井には届きました。
自分も生物学的には女性で、女性性というものは少なからず持ち合わせています。
だとすると、今は男性性・女性性のどちらで反応する方が事態は穏やかなんだろう、と考えるようになりました。
大切だったのは、「男性性だから悪い」「女性性だから良い」という話ではありません。
いつも同じ反応をするのではなく、いまの状況ではどんな関わり方を選ぶとよいのか。
一度立ち止まって考えるための視点として使うようになった、といいます。
怒られた出来事を、自分自身の良し悪しだけで捉えるのではなく、「今回はどんな反応をしていたのだろう」と見直せたことが、筒井には強く腑に落ちました。
その後、自分でも男性性・女性性について調べるきっかけになり、人を一つの属性だけで捉えないことは、マネジメントをするうえでも大切なのだろうと考えるようになったといいます。
先に持っていれば、バイアスは刺さらない
振り返ってみると、筒井にとってこの考え方は、ジェンダーバイアスとの距離の取り方にもつながっていました。
「あなたは男性だから」「あなたは女性だから」と言われても、その言葉をそのまま自分自身の定義として受け取らなくてよくなったからです。
ジェンダーバイアスは受けていないんですよね。
受ける前に、この話を聞いてしまっているからです。変に納得感があるんです、自分としては。
もちろん、実際に偏見のある言葉を向けられれば、不快に感じることもあります。
それでも、相手の言葉をそのまま「自分はこういう人間なのだ」と受け入れるのではなく、「これは相手が持っている見方なのだ」と少し距離を置いて受け止めることはできます。
筒井にとって、「男性性・女性性」という考え方も、そのために持っていた視点の一つでした。
性別を見ないことでも、性別ですべてを説明することでもありません。
目の前の人を、一つの属性だけで決めつけない。そのために、自分のなかに複数の見方を持っておく。
マネジメントにおいて大切なのは、そうして目の前の人を「その人」として見ようとすることなのかもしれません。
あなたは、目の前の人を一つの属性だけで判断しないために、どんな視点を持っていますか?
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dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇しました。
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記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「ジェンダーバイアスに惑わされず「その人」をマネジメントする」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:

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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部
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