直感は才能ではない。それは100回の失敗が残した「データ」だった

「直感を信じなさい」とはよく言われます。しかし、その直感を磨く方法までは誰も教えてくれません。
しかも仕事の現場では、失敗を何度も繰り返すことなど許されない。
では、失敗できない環境で、私たちはどうやって直感を鍛えればいいのでしょうか。

目次

「直感はうさんくさい」そう感じてしまうのはなぜか

直感という言葉には、どこか超常的な響きがあります。
第六感、ひらめき、根拠のない確信。そう捉えてしまうと、ビジネスの場では「うさんくさいもの」として遠ざけたくなります。
dazzly代表の筒井は、自身をこう語ります。

私はかなり直感タイプの人間だと思っています。
その時に感じたこと、見えてきたこと、感覚的に思っていることを、そのまま信じて動くという感じなんです。
直感に従うとうまくいく場合もあるし、いかない場合もあるのですが。

うまくいくこともあれば、いかないこともある。それでも決して手放さないのが、「違和感」を大切にするという姿勢です。

この違和感を放置している時のほうが、あとで「うわっ」と思うことが多いんです。
「やっぱりね」って。
だから違和感は絶対に大事にしたほうがいいと、いつもいろんな方に言っています。

「あの時の直感を信じておけばよかった」後悔はいつも後から来る

興味深いのは、論理の世界でも同じことが言われている点です。
ロジカルシンキングを学ぶ場でも、情報を整理している時にもやっとする違和感には絶対に何かあるから、整理し直したほうがいい、と教えられるといいます。
対極にあるように思える直感とロジカルシンキングが、どちらも「違和感こそ大事」に行き着くのです。

振り返れば、「あの時あの直感を信じておけばよかった」「あの違和感を大事にしておけばよかった」という場面は本当に多い。あの時ちゃんとそう思ったのに、と。
「あの時の自分を信じてあげられなくてごめんね」。
そんな後悔が、論理よりも先に胸に来る。人間とは不思議なものです。

そして、ここは現時点ではAIにはない領域でもあります。だからこそ磨いていく価値がある、という見方です。

「では、その直感はどう磨くのか」

とはいえ、「直感を磨きましょう」と言われても、方法がわからなければ動きようがありません。
そもそも直感とは何なのか。

この番組で幾度も立ち返るテーマである「ボランチ型リーダー」になぞらえて、その正体が解きほぐされていきます。

アスリートが、考えるより先に体が反応する。
何かを見たわけでもないのに、次の動きに入っている。あの反応こそ、直感の姿に近いのではないか、と。

アスリートの方たちの話を聞くと、あれは試行錯誤、失敗の積み重ねだよと絶対に言うと思うんです。
何万回も繰り返してきたパス出しの失敗や、「あの時はうまくいったな」というものが、体の中にデータとして膨大に蓄積されている。

つまり直感とは、天から授かった才能ではありません。
膨大な失敗と成功が体に刻んだ「データの蓄積」です。そうだとすれば結論はシンプルです。

少なくとも、今回のタイトルにもありますが、100回とか失敗しないと磨かれていかないんじゃないかなと思うんです。

「でも、仕事で100回も失敗できない」という現実

ここで、誰もがぶつかる壁があります。100回の失敗が必要だと言われても、実際の仕事で何度も失敗すれば「あなたはもういりません」と言われかねない。それが現実です。

「失敗を許容する文化を作りましょう」とはよく言われるけれど、なかなか難しい。頭にリスクが浮かんでしまうのは、現実問題として避けられません。

では、失敗が許されない環境で、どうやって試行錯誤を積むのか。この矛盾に対して示されるのが、一つの発想の転換です。

人の打席を借りるというのは大事というか、有効なんじゃないかなと思っています。

自分の打席で三振を重ねるのではなく、他人の打席を借りて経験値を稼ぐ。この考え方が、失敗できない現実を突破する鍵になります。

「人の打席を借りる」とは、どういうことか

筒井がまだメンバーだった頃の経験です。
リーダーは別にいて、打ち合わせやプロジェクトで何か問題が起きる。
その時、メンバーの自分は「私だったらこうするな」と考える。けれどリーダーは、別の判断を下すこともある。

当時はただ腹を立てていただけでした。「あの時そう思ったのに、こう言ったじゃないか」と。
ところが、状況が変わると、その記憶が思わぬ形で生きてくるのです。

実際に自分がリーダーになった時、ふと思い出したのです。
「あの時、私イライラした記憶があるな」「あのリーダーと同じ局面に、今私がいる気がする」と。
そして「あの時、私はどう考えていたんだっけ」と掘り起こして、やってみる。

かつてメンバーだった自分は、頭の中でシミュレーションし、リハーサルを重ねていた。
本番環境に立って失敗を丸ごと引き受けたわけではないけれど、その経験の半分ほどは、確かに自分のものになっている
研修で使われるケーススタディも、同じ仕組みです。
人の失敗事例を「下手だな」と思いながら細かく見ていくと、突っ込みどころがいくらでも見つかる。それもまた、失敗せずに経験を積むシミュレーションなのです。

「ただ従うだけ」では、その打席は無駄になる

ただし、ここには一つだけ落とし穴があります。

メンバーである時に、リーダーの方が指し示す方向をむやみに信じ込んで、自分の頭で考えないでいると、せっかく半分体験できる場として使えるのに、無駄にしてしまうんです。
「自分だったらどうするか」と考えるのは、すごく大切なことだと思います。

半分の経験値を手にするか、ただ言われた通りに動いて何も残らないか。その分かれ目は、「自分だったらどうするか」を考え続けられるかにあります。

そして、いざ自分が矢面に立ち、直感を信じて動いた結果うまくいかなかった時。その時こそが、次の直感を育てる番です。

直感的に思ったからこうしよう、と動いて、それでうまくいかなかった時は、しっかり反省することと、次に向けた準備をセットでする。
それを組み合わせていくと、また経験値として、直感を作っていくことに繋がっていくと思います。

痛い目に遭わずに、人の打席を借りまくる。そして自分の打席では、反省と準備をセットにする。
この二つを重ねていけば、直感が効くようになるまでの道のりは、ぐっと短くなる。
失敗が許されない環境でも、直感は確かに磨いていけます。

【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します

9月8日、dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します。難航するプロジェクトの現場で実際に起きたことをもとに、組織が自走するためのリーダーの関わり方についてお話しする予定です。

タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」 〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜

日時:2026年9月8日(火)10:30〜11:10

▶︎ お申し込みはこちらから

記事について

株式会社dazzlyの公式Podcast「直観を信じるための100回の失敗」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。

▶︎ 株式会社dazzly ホームページ

Podcast: 

Apple Podcast
175.直観を信じるための100回の失敗 ポッドキャストのエピソード · DX時代の勝ちに行く組織マネジメント · 6月2日 · 13分

Spotify: 

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次