「集中しているつもり」が視野を狭める。俯瞰は強制ルーティンで手に入れる

目の前の仕事に手を動かしていると、なぜか安心してしまう。けれど、その「やっている感」こそが全体を見えなくしているのかもしれません。
意志の力で俯瞰しようとしても、人はすぐに忘れてしまいます。
では、どうすれば職場やチームを一歩引いて眺める時間を確保できるのでしょうか。

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「木を見て森を見ず」はなぜ起きるのか?

株式会社dazzlyの公式Podcast「DX時代の勝ちにいく組織マネジメント」
今回のテーマは、番外編「ボランチ型リーダーのサバイバルガイド」の続きとして語られた「ピッチを俯瞰するための強制ルーティン」です。
ピッチ、つまり職場やチームという場を、いかにして俯瞰するか。
dazzly代表の筒井は、まず人が陥りやすい落とし穴から話を始めました。

よく「木を見て森を見ず」と言いますよね。
あの状態って、実は脳の習性でもあるらしいんです。
どうしても目の前のことに集中してしまいがちで、不確実な森よりも、もう見えていること、脳をそんなに働かせなくてもいいことに集中してしまう。
そう言われたりもするみたいなんです。

見えているものに意識が向かうのは、脳にとって自然なこと。
だからこそ、そこだけに集中してしまう危うさがあります。
いざ森を見渡せば、「本当は今、こっちの方が大事なんじゃないか」「こういうことが起きているから、ここに手を打たなきゃいけないんじゃないか」と、目の前だけでは見えていなかったものがたくさん現れてくる。
木も見るし、森も見る。話の出発点は、そのシンプルな二択にありました。

木を見ていれば、とりあえず手は動いています。そこには「やってますけどね」という安心感がある。けれど、心のどこかでは森の存在を知りながら、見て見ぬふりをしてしまう。
「今じゃなくていいかな」「今忙しいしな」という先送りは、誰にでも覚えのある感覚ではないでしょうか。

「忙しい」は最大の言い訳になっていないか?

森を見なければいけないと分かっていても、腰が上がらない。その理由は、こう言い切られます。

「忙しい」って、最大の言い訳ですよね。
「時間がない」とか、すぐ言ってしまう。私自身も自分に向けて言っています。
でも、やっぱりどうしても目の前のボールって見ちゃうんですよ。
いかんいかん、全体を見ないといかん、と思いながら。

ここで話は、これまで番外編で語られてきた「ボランチ型リーダー」へとつながります。
ピッチ全体を見渡すボランチの真骨頂は、常に首を振って周囲を確認する視野の広さにあります。
そしてその視線は、周囲だけでなく自分自身にも向けられるべきものです。

ボランチの真骨頂って、首振りなんですよね。
常に首を振って周囲を見る、その視野の広さ。それに加えて、自分自身も見て「あれ、今ちょっと忙殺されてるな」とか「今、立ち止まってるな」「動きが鈍いな」みたいに、自分の状態に気づくことも大事かなと。

もっとも、その自己観察こそが難しい。

余裕がないと、自分のことって見られないんですよね。
だから、俯瞰って一言で言ってもすごく難しいことだと思っていて。
それをどう確保するか、それができる時間をどう確保するかと考えていくと、もう強制的に何かを変えるしかないんじゃないか。私はそう思っているタイプですね。

なぜ「意志」ではなく「強制」が必要なのか?

俯瞰の時間は、意識するだけでは生まれない。ここから話題は、筒井自身が長年続けてきた具体的な習慣へと移っていきます。
キーワードは「強制」です。

私、これは会社員時代からずっと頑なにやっているんですけど、ランチの時間は絶対に外に出るんです。
お弁当を持ってきたとか、コンビニで買ってきたとか、社員食堂を使うとか、そういうことではなく。
買ってきたものだったとしても、絶対に外で食べる。公園とか、公共スペースとか。

天候などの事情でどうしても外に出られない日でも、絶対に自席以外の場所で食べるというルールを自らに課していたといいます。
無理やり自分の身を別の場所に置き、環境ごと変えてしまう。
その狙いは、脳のモードを切り替えることにありました。

自席に座ってパソコンの前にいれば、やはりそのモードのままです。
下手をすると、画面でニュースを見ながらご飯を食べ、メールが届けばつい手が動いて開いてしまう。それでは、なかなか切り替えられません。
仕事のスイッチが入りっぱなしになるからこそ、物理的に離れる
単純なようでいて、この切り替えには確かな効果があります。

場所を変えると、頭の中で何が起きるのか?

では、外に出てランチをとると、気持ちはどう変わるのでしょうか。
返ってきたのは、まず「決めていたから」という答えでした。
忙しかろうが何だろうが絶対に出てやると決めていたので、「やってやったぜ」「強制的に気分を変えてやったぞ」という気持ちの方が大きかった、と振り返ります。

もうひとつは、外に出ると視界に入ってくるものの多さです。
比較的キョロキョロするタイプなので、いろんなものが目に飛び込んでくる。
毎日まったく同じ光景が広がっていることは、まずありません。
季節が進めば街路樹の緑は濃くなり、風の匂いも変わっていく。絶対に何かは変わっている
その小さな変化に触れること自体が、リフレッシュにつながっていたのだといいます。

食事を終えてオフィスに戻る頃には、頭の中が少し違う状態になっている。
ノイズが消えるような感覚もある。簡単なことなのに、意外と侮れない。それがこの習慣に対する評価です。

「自席にいたら詰まる」ときはどうするか?

環境を変える工夫は、ランチだけにとどまりません。
仕事中も、自席だけで作業するとか、会議があったら会議室だけ、というのではなく、あえて別のフリースペースへ移る。
フリースペースだと集中力が上がるとかアイデアが出るとか、いろいろ言われますが、動機はもっと切実でした。
「自席にいたら詰まるからダメだ」。そう思って、席を立っていたのです。

その徹底ぶりは周囲にも知られていました。
「あれ、筒井どこ行ったの?」とよく言われ、もう自席にいない人として定着していたそうです。
「多分あそこだと思います」と誰かが答え、何かあれば戻ります、という具合です。

フリースペースやフリーアドレスを設けるオフィスが近年増えてきましたが、効果があるからこそ設けられている場所であり、大いに活用した方がいい。
環境を変えることの意味は、こう掘り下げられます。

思考って、固着していくというか、固まっていくんです。知らず知らずのうちに。
同じ場所、同じ環境、同じものが見えているとなると、変わりようがなくなってしまう。
かといって、自分で意識して変えようとすると、意識するのも疲れるじゃないですか。
しかも、忘れるんですよ。

「若干の気持ちよさ」は積み上がっていくのか?

「意識しておこう」と心に留めたことは、概ね忘れます。
でも、「じゃあ環境を変えよう」くらいなら、なんとかギリギリできる。
意志の力に頼らず、仕組みで解決するという発想が効いてくるのはここです。しかも、そこには少なからずちょっとした気持ちよさがある。引いて見えたり、気づくことがあったりもする。

視点をずらすこの二つの習慣は、どちらも今すぐ始められるものです。

劇的な変化とまではいかないですけど、若干軽くなるというか、若干の気持ちよさは得られるんじゃないかなと思います。

小さな切り替えでも、積み重ねれば確かに積み上がっていく。
目の前のボールばかりを追ってしまう自覚があるなら、まずは場所を変えることから

俯瞰する時間は、強い意志ではなく、日々の小さな強制ルーティンの中にこそ確保できるのかもしれません。

【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します

9月8日、dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します。まさにこの「ボランチ的思考」を、難航したプロジェクトの現場で実際に起きたことを含めてお話しする予定です。

タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」 〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜

日時:2026年9月8日(火)10:30〜11:10

▶︎ お申し込みはこちらから

記事について

株式会社dazzlyの公式Podcast「ピッチを俯瞰するための強制ルーティン」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。

▶︎ 株式会社dazzly ホームページ

Podcast: 

Apple Podcast
174.ピッチを俯瞰するための強制ルーティン ポッドキャストのエピソード · DX時代の勝ちに行く組織マネジメント · 5月26日 · 15分

Spotify: 

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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