『前に進むこと』だけが正解ではない。共創を始めるパス回しの作法

組織を「サッカー」と「野球」で例えるとしたら、あなたのチームはどちらのOSで動いているでしょうか。近年よく耳にする「共創」という言葉。それを実現する鍵は、実はサッカーの「パス回し」にあるのかもしれません。前に進むことだけが評価される組織に、共創は芽生えるのでしょうか。

目次

「共創」の時代に、なぜ『自チームの論理』では戦えないのか?

弊社dazzlyの公式Podcast「DX時代の勝ちに行く組織マネジメント」では、組織を野球とサッカーになぞらえるシリーズが続いています。今回のテーマは「共創」。dazzly代表の筒井は「野球が大好き」という前提を丁寧に置いたうえで、企業を取り巻く環境の変化から話を始めました。

「共創」という言葉が物語る通り、変化はどんどん外側へ広がっています。企業の内側だけで完結せず、外の企業とどう付き合い、いろんな相手と組んで一つのことに向かうか。そういう場面が確実に増えている——。スポーツに例えるなら、競技場そのものが広がり、プレイヤーも多岐にわたってきている、というわけです。

プレイヤーが多岐にわたっているので、自分のチームの論理、自軍のサインだけに固執するのではなく、他部署やいろんな関係者とパスを交換するような感覚を持つ。それがいいのかなと思うんですね。

境界線はあっても、それを越えて走り回る。どことどこをつなぎ合わせれば面白いことが起きそうか、全体としてうまく前進しそうか。そのつなぎ役を担う振る舞いこそが、共創へ近づく第一歩です。

なぜ「野球OS」のままでは、はみ出し方がわからないのか?

前回のエピソードで登場した「ボランチ」。広い視野で周囲を見渡し、時に自分のポジションからはみ出していく存在です。ところが、この「はみ出す」という感覚は、野球OSとはどうにも相性が悪い。野球で語ろうとすると、きっちり正確に、もう決まっている部分が出てきてしまうからです。

変化の速い今は、むしろはみ出さない方がリスクになりつつあります。それでも動けない理由がある、と筒井は指摘します。

今はどちらかというと、はみ出さない方がリスクかもしれません。ただ、野球OSのままだと、はみ出し方がわからなかったりするのかなと思うんです。

見通しの利かない世の中では、これまでやらなかったことをやらなければ対応できません。だからこそ、必要になるのはこの感覚です。

自分の足を信じて、はみ出す。本当にそういう感覚が大事だと思います。

弊社では、この「はみ出す勇気」こそが共創の出発点だと受け止めています。

相手を驚かせる「キラーパス」を、どう繰り出すか?

では、パス回しをどれだけ楽しめるか。ここで登場するのが、サッカーの「キラーパス」です。

パスを出した相手が驚くようなアイデアや、外からもらってきた情報を、タイミングよく放り込む。それによって場の状態を変える、質を変化させる。ただのパスというより、そういうことができる人でありたいですね。

ただし、キラーパスは思いつきでは成立しません。それを繰り出すには、チーム全体がバランスとして機能していることが前提になります。状況をしっかり把握していなければ、「よし、今だ」というタイミングそのものが測れないからです。外から得た情報も、放り込む時機を誤れば役に立ちません。全体を見渡す視点があってこそ、キラーパスは生きるのです。

「バックパス」は、なぜ後退ではないのか?

サッカーは前へ前へと進むスポーツです。しかし、困ったときには後ろへ戻す「バックパス」がある。この動きにこそ、企業が学ぶべき知恵があります。

一度後ろに戻して、状況を眺めて、戦局を立て直す。企業も、そこは別にやっていいんじゃないかなと思うんです。進んでみたけれど困ったなと思ったら立ち止まる。「これ、どうしたらいいの?」と戻って、落ち着いて相談をして、じゃあもう一回進もうか、と。

もっとも、バックパスを成立させるには条件があります。「戻ったら怒られそう」と思った瞬間に、人は戻れなくなる。立ち止まっていることや、進んでいないことに対して叱られる場面は、実際のところ少なくありません。

だからこそ、覆すべき前提があります。

進むことばかりが正というわけではないよ、というところもあるなと思います。

受け止めてくれる安心感があるからこそ、人は安心して後ろに戻れる。バックパスを許す文化は、実はチームを前進させる土台なのです。

「ノールックパス」が生む、理想の信頼関係とは?

そして共創が最終的に目指す姿として挙げられたのが、「ノールックパス」でした。

パスする相手を見ないで、ここにいてくれるだろうと信じて出す。あいつならここまで上がってきてくれているはず、という。あれができたら、最高ですよね。

相手を見ずにパスを通すには、互いの状況理解が欠かせません。今こういう状況だからこう動こう、という判断を双方が持ち、相手もそれを理解している。その上で初めて成り立つ、いわゆる阿吽の呼吸です。

それが自チームだけでなく、いろんな部署や、よその会社さんとでもできるようになると、すごく理想の姿だと思います。

ノールックパスができるような信頼関係を、仕事仲間の中に築いていく。それができたら、仕事の喜びを全身で感じられそうだ——対話は、そんな展望とともに結ばれました。

パス回しを「楽しめる」組織へ

キラーパス、バックパス、ノールックパス。三つのパスに共通するのは、境界線を越え、相手を信じてつなぐという姿勢です。

弊社dazzlyが今回の対話を通じて受け取ったのは、共創とは特別な仕組みではなく、日々のパス交換をどれだけ楽しめるかにかかっている、という視点でした。前に進むことだけを評価するのではなく、時に戻り、時にはみ出し、タイミングを見計らって仲間へパスを放る。その積み重ねが、やがて阿吽の呼吸へと育っていくのでしょう。

あなたのチームは今、どんなパスを回せているでしょうか。


【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します

9月8日、dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇します。
まさにこの「ボランチ的思考」を、難航したプロジェクトの現場で実際に起きたことを含めてお話しする予定です。

タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」 〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜

日時:2026年9月8日(火)10:30〜11:10

▶︎ お申し込みはこちらから

記事について

株式会社dazzlyの公式Podcast「共創を始める『パス回し』とは?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。

▶︎ 株式会社dazzly ホームページ 

Podcast: 

https://podcasts.apple.com/us/podcast/172-共創を始める-パス回し-とは/id1668766735?i=1000767435347&uo=4

Spotify: 

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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