「なんで伝わらないの?」。同じ説明を同じ場所でしたはずなのに、伝わる人と伝わらない人がいます。分かっているのに、つい焦りやイライラが込み上げてくる。その感情を、あなたはどう扱っていますか。
「なんで伝わらないの?」は、なぜ全方位で起きるのか
「イライラを、自分を動かすためのガソリンにする」。
株式会社dazzlyの公式Podcastでは、こんなテーマで対話を重ねてきました。
今回、代表の筒井が取り上げたのは「『なんで伝わらないの?』の焦りを、一歩進む力に変える」というテーマです。
インタビュアーの土井が「これは全方位に向かってあることですよね」と切り出すと、筒井も深くうなずきます。仕事に限らず、意思疎通の難しさは日常のいたるところにあるものです。
なんで伝わらないの?というのは、まさに全方位ですよね。コミュニケーション、意思疎通って難しいなと、ずっと思っています。
100人に同じ説明を同じ場所でしても、分かる人と分からない人がいる。理解や解釈の仕方も、人によってまるで違う。弊社代表は、それを「そういうものなんだ」とまず大前提として受け止めます。
そういうものなんだ、というのが大前提ですよね。でも、やっぱりイライラするし、焦るし、「なんでなの?」ってなってしまう。そこなんですよ。
頭では「人はそういうもの」と分かっている。それでも感情がざわつく。この矛盾こそが、多くの人が抱える悩みの入り口なのかもしれません。
怒りをぶつければ、本当に伝わるのか
プロジェクトを進めるなかで、「なんで?」「何なの?」と感じた経験はたくさんあった、と筒井は振り返ります。むしろ「そんなのばっかりだった」と。
特に、いわゆる荒ぶっていた頃の話です。
メンバーの動きに対して、なんでこんな感じなんだろう、なんで言ったのに分からないんだろうと、イライラしてしまって。
本当はプロジェクトを前に進めることをやらなきゃいけないのに、ただただ怒りの感情をぶつけるだけの状態に陥ってしまった時がありました。
土井が「怒らないと伝わらないんじゃないか、というくらい届かない感じがあったのでは」と問いかけると、筒井は「ずっと積み重なっていたものがあった」と応じます。
こんなに言ったじゃん、こんなに説明したじゃん、あの時も言いましたよね——。
念のためにと伝えていたことすら伝わっていないと、「この人、本当になめているのかな」くらいに思ってしまって。その時の私は、多分、怒ることしか手段がなかったんでしょうね。
それ以外の方法を、知らなかった。できなかった。 怒りは、当時の彼女にとって唯一の手段だったのです。
椅子を蹴り、泣いた夜に起きたこと
感情が抑えきれなくなった時、筒井は誰も座っていない空の椅子を蹴ったこともあった、と打ち明けます。決して人に向けたわけではありません。それでも、収まらなかった。
どうにも収まらず、ただ、なんだか泣けてきたんですよね、自分で。
「私、何やってるんだろう」って。
当時の筒井はプロジェクトリーダーで、上にはプロジェクトマネージャーがいました。
怒ってしまった、椅子を蹴ってしまった。
その反省から、マネージャーに連絡を入れます。「こんなことがありました、もう泣きたいです」と。返ってきたのは、たった一言でした。
「泣かないで」って言ってくれて。
それですごく救われたというか。仕事場でこんなに感情を出して、しかも怒ってしまった行動に対して、「泣かないで」と言ってくれるんだ、というのが、すごく救われた。
未だに覚えています。
そのマネージャーは、コップの水が溢れそうになっていることに、気づいてくださったのかもしれません。ただ、自分の行動が許されるわけではないということもそのときに認識したといいます。
我慢し続けた先に、待っていたもの
怒りを爆発させるパターンだけではありません。反対に、ずっとずっと我慢して、言わないようにしようと抑え込んでいた末に、限界を迎えることもあったといいます。
何かのタイミングで、もう限界を迎えて、ミーティング中に詰め寄ってしまう。
別のプロジェクトの時に、やってしまったこともありました。
そして、どちらのパターンにも共通する後悔があります。それは、一対一の場ではなく、他の人もいる場でやってしまったこと。だからこそ、後悔は深くなりました。
「なんでこうなっちゃったんだろう」という気持ちになりました。
詰め寄られた相手に対して、チームのメンバーも何かしら見聞きしているでしょうし。
周囲は、その様子を冷静に見ていたのかもしれません。土井が「『筒井さん、最後のリーサルウェポンですね』という感じで見られていたかも」と冗談めかすと、筒井も苦笑しながら「そうだったらよかったな、と思いつつ」と応じます。感情のままの言動は、本人だけでなく、見ている人の心にも残っていくのです。
怒りは、状況を1ミリでも好転させるのか
こうした経験を何度か重ねるなかで、筒井はある事実に気づきます。それは、シンプルでありながら本質的なものでした。
怒りだけをぶつけても、やっぱり状況って好転しないんだな、と気づいたんです。その場では一瞬スッキリするかもしれないけど、それだけに留めていてもダメだな、と。(筒井)
土井は、この「怒りをぶつけても1ミリも好転しない」という点こそが大事なポイントだと指摘します。怒りは適切に表現すればいいし、抑え込むものでもない——弊社ではこれまでのエピソードでもそう語ってきました。けれど、それだけで終わらせない。
まさにアンガーマネジメントの概念、そこなのかもしれないですね。怒りと付き合う、ということですから。(筒井)
大切なのは、その先です。1ミリも好転しないと気づいた筒井は、怒りの後に問い直すようになりました。
じゃあ、プロジェクトを前進させるためには、結局どうしたら良かったんだっけ?と考えるようにしたんです。焦りや苛立ちを、そっちの方向に転換していく。できているといいな、とは思いますけど。(筒井)
荒ぶった過去から学んだこと
「1ミリも好転しない」と気づいてから、筒井の言動は変わったのでしょうか。土井の問いに、代表は「むやみに衝動的なことはしなくなった」と答えます。もちろん、ムカつく気持ちがなくなったわけではありません。
見ていないところで物に当たるとかは、全然変わらないんですけど。ここでこういう言動を取ったら後悔しそうだな、というのは、しなくなったかなと思います。(筒井)
「今はやめておけ」という囁きが、頭のなかに入るようになった。そう言葉にすると、筒井は「入っているといいんですけどね」と笑いながらも、こう続けます。
今ここでやったら私は後悔するかもしれない、というのが先立つようになってきたかもしれません。(筒井)
つまり、怒ってしまった過去の経験こそが、今のブレーキになっているのです。荒ぶっていた時期は、周囲に迷惑をかけた反省とともに、確かに今の自分を支えている。筒井は、少し照れながらこう締めくくりました。
こんなふうに語っていいのかどうか、と思いますけど。周囲の皆様には散々ご迷惑をおかけしてきたので。でも、そういう経験だったんだろうな、とは思いますね。(筒井)
気持ちの切り替えは、一気にはできません。それでも、少しずつ少しずつ。「引き続きトレーニングに励みたい」と語る筒井の言葉は、「伝わらない」焦りに向き合うすべての人への、静かなエールのように響きました。
【お知らせ】HR SUMMIT 2026 ONLINE の講演をアーカイブでご覧いただけます
dazzly代表の筒井が HR SUMMIT 2026 ONLINE に登壇しました。難航するプロジェクトの現場で実際に起きたことをもとに、組織が自走するためのリーダーの関わり方についてお話ししています。
タイトル:「正解なき時代に、組織を自走させるリーダーの育て方」
〜難航するプロジェクト現場が教えてくれた『ボランチ的思考』と3つの実践〜
アーカイブ配信:2026年9月16日(水)13:00〜10月21日(水)17:00
期間中はいつでも何度でもご視聴いただけます。
お申し込みは10月21日(水)15:00まで受け付けています(視聴にはHRプロへの会員登録が必要です)。
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記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「『なんで伝わらないの?』の焦りを、一歩進む力に変える」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
Spotify:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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