抑えた感情は、消えてなくならない。平気なふりをやめるという鍛錬

辛いことがあったときに、「大丈夫です」と先に言ってしまうことはありませんか?

感情を出すのは大人ではない、まずは落ち着こう、と自分に言い聞かせる。その習慣が、かえって自分を追い詰めることもあります。
dazzly代表の筒井が高校生のときに出会い、いまも支えにしている言葉を手がかりに、揺れる自分とのつき合い方を考えます。

目次

感情を出す人は、未熟なのか

アンガーマネジメントという言葉はすっかり広まり、感情を抑えることは大人の作法として扱われています。 感情を表に出す人は未熟だ、という空気も、たしかにあります。

筒井は昔から、言葉に支えられて生きてきたと話します。
番外編のこのシリーズでは、その支えになった言葉をひとつずつ紹介しています。
今回の言葉は、「感情を出す人は未熟だ」という見方とは、反対のことを言っています。

「辛いことやショックなことがあったら、揺れて揺らぐものです。大丈夫なふりをするくらいだったら、多少取り乱してしまうくらいがいい」

揺れること、取り乱すことを、丸ごと肯定する言葉です。 出典は、当時からコーチングに取り組んでいた方の本でした。

高校生のときに出会った一文

筒井がこの一文を読んだのは、高校生の頃です。

今もそうなんですけど、私は結構感情がわーっと来るタイプで、感情に飲み込まれやすかったり、顔に出たり、行動に出たりしがちなんです。
そうなった時の自分に嫌悪感を持ったり、こんなんじゃダメだと思うことが多かったんですよね。

感情が動くこと自体を、自分の欠点として数えていた時期でした。
そこへ、揺らいでいいという一文が届きます。

そうか、揺らぐんだと。当たり前なんだ、それがと思って。確かに私はずっと大丈夫なふりをしようとしていたな、と。

でも、それは違うんだと思って、もう大号泣しましたね。
『何をやっていたんだろう、私は』という気持ちもあったんでしょうね。

本を読んで泣くほどの出来事でした。 自分を責める材料が、ひとつ手元から消えたからです。

「また平気なふりをしている」と気づく

出会った瞬間に楽になって終わり、という話ではありません。
この一文は、その後も繰り返し呼び出されています。

感情に飲み込まれそうになる。でも『自分は大丈夫』というそぶりをしようとする。
そうなった時に、やっぱり思い出すんです。『ああ、またやっている』と。

気をつけていても、平気なふりは手が伸びやすい方法です。
その場をしのげて、周りにも迷惑をかけないからです。
そのたびに言葉を思い出して、手を引っ込める。いまだにそうだと筒井は笑います。

大丈夫なふりは、一度うまくいくと癖になります。
繰り返すうちに、自分が無理をしていることにも気づきにくくなっていきます。
だから、気づかせてくれる言葉が手元にあると助かります。

抑えた感情は、どこかで必ず出てくる

平気なふりを続けると、その場はしのげます。
ただ、抑えた感情がどこへ行くのかという問題が残ります。
爆発するか、こぼれるか。どちらにしても、黙って消えてはくれません。

消えてくれれば本当にいいんですけどね。消えはしないんですよね。

だからこそ、溜めずに都度揺れておいた方がいい、という結論になります。
小さく何度も揺れている人は、一度に大きく崩れずに済みます。
揺れを先送りした分だけ、出てくるときの勢いが増していく。溜めない方が、結局は自分も周りも楽になります。

ところが、人が感情を表に出すと、すぐに持ち出される言葉があります。

アンガーマネジメント、あとは私もあまり好きではない言葉ですが、メンヘラ。
何かあるとすぐ言いますけど、人間そんなスマートに生きられないよって。
そっちの方が自然だよって本当に思います。

時と場合に応じた配慮は必要だと筒井も言い添えます。
そのうえで、必要以上に大丈夫なふりをしなくてもいい、スマートにしなくてもいい、と続けます。

取り乱し方は、繰り返すうちに整う

揺れていいと決めた人は、そのまま周囲を巻き込み続けるのでしょうか。
実際には、周りを巻き込まない出し方に変わっていくことがあります。

取り乱し方には幅があります。

この人は会社を辞めると言い出すのではないか、と周りが身構えてしまう出し方。
一度は頭を抱えて、それを全員に見せたうえで、仕方ないかと立ち上がる出し方。

後の形であれば、落ち込んでいることが伝わっても、周囲は安心して見守れます。

筒井の出し方は、後の形に近いものです。
平気なふりはしていないのに、周りが困らない。
高校生の頃から積み重ねてきた鍛錬が、そこに表れています。

「取り乱していいんだった。これが普通だった、自然だった」と思っていました。

取り乱すことを自分に許しながら、同じ場面を何度も通る。
すると、出し方そのものが整っていきます。

自分を許せると、相手も許せる

揺れていいという許可は、自分だけに向けられたものではありません。

プロジェクトマネージャーとして現場に立てば、メンバーが感情を出す場面にも行き当たります。
そのときに、自分へ向けるのと同じ目で相手を見られるかどうか。

感情を向けられて、受け止めきれないとか、むかつくな、悲しいな、といろんなことを思います。
でも、だからといって『そういうことをしないで』という感じにはならないというか。
今そういう状況なんだな、というふうには見られている部分はあるかもしれないですね。

相手を好きか嫌いかという極端な方向に振れずに済むのは、「今そういう状況なんだな」と言い換えられるからです。
自分の揺れを欠点として数えない人は、相手の揺れも欠点として数えません。

人間はそんなにスマートに生きられない、と筒井は言います。
その見方を自分に当てはめられる人は、相手にも当てはめられます。
感情が出てしまったことを、その人の未熟さの証明にしない。

溜めない人が、他人の感情も受け止められる。

揺れることを自分に許すところから始まって、出し方が整い、やがて相手の感情も受け止められるようになる。高校生のときに出会った一文は、そこまで届いています。

あなたが最後に「大丈夫です」と言ったとき、本当に大丈夫でしたか?

記事について

株式会社dazzlyの公式Podcast「平気なフリをするより、感情を出す方がいい理由」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。

▶︎ 株式会社dazzly ホームページ

Podcast: 

Apple Podcasts
191.平気なフリをするより、感情を出す方がいい理由 Podcast Episode · DX時代の勝ちに行く組織マネジメント · September 22 · 12m

Spotify: 

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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