あなたの「推し」は、翌日の自分を動かしてくれていますか?
推し活という言葉はすっかり市民権を得て、自己紹介から一歩踏み込みたいときのよい質問にもなりました。
しかし、好きなものがあることと、それが力になっていることは、同じではありません。
dazzly代表の筒井が社会人3〜4年目に上司から受け取った一言を手がかりに、その違いを考えます。
好きなものがあることは、強みなのか
筒井は小さい頃から野球が好きで、いまも変わりません。
その野球について、当時のプロジェクトの上司から思いもよらない言葉を受け取りました。
お前の野球好きは活力になっていないだろう?
好きと活力に、そんな関係があるのか。 言われた直後は何のことか分かりませんでした。
好きなものがあるかどうかは、いまや会話の入口です。
推しは誰かと聞けば、相手の人柄まで見えてきます。
その前提に立つと、好きなものがあることはそれだけで強みのように思えます。
上司の言葉は、そこに線を引くものでした。
当時は、ちょっと理解ができなかったです。
『えっ、どういうこと?』というのが先にきました。
「嫌だ嫌だ」を言い続けていた時期
この言葉が出てきた場面には、前提があります。
社会人三年目ごろの筒井は、仕事もできず、やりたいことも見つからず、かなりくさくさしていました。
その状態で上司と話していて、言いたいことを並べます。
「会社行きたくないです、仕事がつまらないです、やりたくないです。」
要するに『嫌だ嫌だ』をずっと言っていたような感じがあって。
上司から、『じゃあお前、何がしたいんだ』と言われた時に、『いや、もう私は野球があればいいです。野球が見られたらいいんです。』みたいなことを言っていたんだと思います。
その返しに対して上司が言ったのが、「お前の野球好きは活力になっていないだろう」という言葉でした。
小さい頃からずっと好きだった野球を「活力になっていない」と言われて、筒井はまず「えっ?」となったといいます。
否定されたのは、野球ではなかった
いま振り返ると、上司が見ていたのは野球ではありません。
多分、その上司から見ると、「野球というところに逃げ込んでいた」、「現実逃避をしていた」というふうに見えたんじゃないかなと、今なら思います。
仕事がうまくいかない理由は何なのか、自分に何が足りていないのか。
その問いから目を背けているように見えた、ということです。
気持ちをリセットするために好きなものへ向かうこと自体を、上司はとがめていません。
一時的にそうするのは構わない、と筒井も言い添えます。
「別に逃げてもいいけど、逃げ続けたら何も変わらないよ」、みたいなことを言いたかったのかなと思います。
逃げてもいい。逃げ続けると、戻る理由がなくなる。
逃げ場になるか活力になるかを決めるのは、好きなものの中身ではありません。
そこから現実に戻ってくるかどうかです。
上司もまた、好きなものに支えられていた
「活力」という言葉を選んだこと自体に、上司の経験が表れています。
この上司はプロレスが好きでした。それも、かなり熱心に。
週末の試合を楽しみに今週を踏ん張る。
かっこいい戦い方を見て、自分もああいう気持ちで臨もうと思う。
好きなものがそういう働きをすることを、この上司は自分の身体で知っていました。
だから「活力」という言葉が出てきます。
推し活そのものを下に見ている人の口からは、この言い方は出てきません。
現実はこうだけど、そういう現実も受け止めて、推し活というものを使って前に進む力になっている。そういう感じだったんだろうなと思って。
同じ人の中でも、現実から離れるために向かうものと、自分を立て直すために向かうものは分かれていることがあります。
好きの強さではなく、その後に何が起きるか。そこを見れば、自分でも区別がつきます。
活力になっているときの形も、はっきりしています。
お手本であり、憧れであり、ああなりたいと思える相手がいる。
だから自分も頑張ろう、少しでも近づけるようにと思える。
くじけた場面を思い出しても、この人たちはくじけていないから、と立ち上がれる。
推している時間の中で、そういう気持ちが生まれているかどうかです。
仕事とプライベートは、分かれていない
上司が選んだ表現には、もうひとつ伝わるものがあります。
『くさくさすんなよ』とか『もっとやる気を出せ、仕事にちゃんと向き合えよ』とか、そういう伝え方ではないんですよね。
やる気の話にすれば、仕事の側だけを責める形になります。
本人も「やる気がない自分」を立て直すところから始めなければなりません。
活力の話にすると、休みの日の過ごし方まで一続きのものとして扱われます。
仕事とプライベートが分かれていないことが、言い換えずに伝わります。
今になってみたら、これは言われてよかったなと思いますし、しかもこの表現だったことが良かったなと思います。
言われた直後は理解できなかったからこそ、「あの言葉はどういう意味だったのだろう」と、その後も考え続けることになりました。
上司は野球が好きなことを否定せず、それでいて言うべきことをはっきり言いました。
だから筒井は、何年たってもこの一言を覚えています。
自分の推し活は、人生を豊かにしているか
筒井は当時、この言葉に応えられていなかったと振り返ります。
ただ逃げたい、仕事のことはどうでもいい、という状態でした。
仕事人生のなかで、そういう時期は誰にでも訪れます。そして本来、好きなものはその時期にこそ使えるものです。 調子のいいときだけ力をくれるものではありません。
ちゃんと自分の推し活は活力になっているのか。
自分の人生、仕事やプライベートではなく、人生というものが豊かになっているのかというのは、確認をするのはいいのかもしれないですね。
好きなものは、必ずエネルギーを生みます。
それを自分でどう生かすかというところは、自分次第で変わります。
あなたの推し活は、人生を豊かにしているでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「その「推し活」は人生を豊かにしているか?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
Podcast:
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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井里美
編集・構成:dazzly編集部

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