IT人材・DX推進人材の不足を嘆く前に、改めなければいけないこと

「IT人材が不足している」
「DX推進できる人材がいない」

そんな声が聞こえて久しいですが、デジタル化や会社変革に迫られる現在、より当課題が浮き彫りになっていると感じます。

ただ、この課題を適切に理解できている人はどの程度いるのか?
IT人材・DX推進人材とは言うが、それぞれどんな人材のことを指しているのか?

ここを履き違えている方が多いというのが、この課題に向き合うときに常々思うことです。

DXが「デジタルの力でビジネスに変革を起こすこと」と考えると、ビジネスの話は切り離せません。
にもかかわらず、デジタルに強い人材がいれば良いのだ、と判断してしまう。

「ウチはビジネスのことは考えられる、ただデジタルに強い人材がいないから、そこの補強が第一」
「ITエンジニアさえいれば、IT事業に手を出せるのに」
「依頼したものを要望通り形にできないとは、プロとしていかがなものか」

これまで幾度となく聞いてきたセリフですが、上記のような期待値がある方は要注意。
いや、考えを改めてもらう必要があります。

また、

「IT関係者は専門用語ばかり使うから、何を言っているのかわからない」
「こちらの意図を汲まずに、”できない”ばかり言う」
「知らないからプロに頼んでいる、だから教えてほしいのに」

こんなクレームも本当によく聞きますが、ある意味、お門違いも甚だしいです。

例えば、アプリを作りたいという要望があったとします。
では、アプリ開発会社やエンジニアに「これを作って」と依頼すれば、勝手に良い感じに作ってくれるのでしょうか?
“え、だってプロだからできるでしょ”と聞こえてきそうですが、相手を何のプロだと思っているのでしょうか?

このようなケースで最も多い勘違いは、事業のプロだと思ってしまっていることです。
明確にその認識があるわけではないのですが、潜在的な期待としてあるのは、手段であるアプリではなく事業やサービスを創り上げてくれるという期待。

そもそも、人が欲しがるもの・世の中が必要としているものを作れるスキルと、プログラミングのスキルは別物です。
ここを「ITがわからないから」「相手はプロだから」という理由だけで理解していないのは、責任放棄です。

先ほどの”アプリを作りたい”という要望であっても、
よくよくヒアリングしてみると、既存事業ではやっていない領域だけどアプリ化したい、というケースが非常に多く、
つまりそれは、アプリを作りたいのではなく事業を立ち上げたいということであり、やりたいことそのものが違えてしまっている。

そんな状態で、アプリ開発会社やエンジニアに依頼しても、上手くいくわけがないのです。
だって、新しく事業を立ち上げる認識もないし、専任を置くわけでもないし、手綱も握っていないのだから。

そうならないためにも、ちょっと一歩立ち止まって、これから何をしようとしているのか?そのためには何が必要だろうか?を、まずは見渡してほしいと思います。
TIは手段でしかないので、それを使ってどうしていきたいか?を徹底的に考える、それが最重要です。
そして、もし事業を立ち上げたいのであれば、事業・サービスを創ることとアプリを作ることを切り分けて考えてみる。
それぞれどんなプロセス・役割が必要で、どんな風に推進していくのが良いのか?

そう考えていくと、自ずと、「IT人材」「DX推進人材」の区別も付いてくるのではないかと思います。
そして、ITを活用して事業を立ち上げるのであれば、DX推進人材が必要不可欠だ、と気づかれるのではないでしょうか。

ITが手段であるとすると、事業・サービスの中にアプリはインクルードされます。
そのため、開発会社やエンジニアに丸投げではダメで、全体をマネジメントしながら推進する必要がある。
さらには、事業・サービスを立ち上げる手綱を握るのは、どちらであるべきなのか?
ここで明言するまでもないことだと思います。

その観点が抜け落ちてしまっているため、DX推進してみても上手くいかなかった。
つまり、DX推進人材が不足しているし、そもそも育ててこなかった。

・・・といった現在の状況に繋がっているのではないか、と、そんな風に思っています。

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