『DX×ジョブ型雇用』として語られる背景にあるもの

DXという言葉と併せて、ジョブ型雇用という言葉も取り沙汰されている昨今。
言葉先行という意味では、ジョブ型雇用に対しても様々な解釈があるのかと考えられます。

雇用制度としては、ここ最近確立されたものではなく、昔からあるものとなります。
比較対象としてよく語られるのは、メンバーシップ雇用です。

改めて、それぞれの雇用形態を簡単にお伝えすると、

●ジョブ型雇用
・企業が職務内容・勤務地・時間などの条件を明確化して就業者と雇用契約を結び、就業者は契約の範囲内でのみで働くという雇用システム
・「仕事内容にマッチする人材」を採用する手法

●メンバーシップ雇用
・職務や勤務地を限定することなく新卒で正社員を一括採用し、長期にわたって雇用する雇用システム
・「会社にマッチする人材」を採用する手法

※「ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリットを紹介」より引用

近年の日本でスタンダードなのはメンバーシップ雇用であるため、ジョブ型雇用が新しいもののように捉えられているのかもしれません。
ただ、専門分野の職務に就くという意味では、雇用形態はともかくとして、医師であったり士業であったり、またIT業界でもそのような働き方が多いのではと思います。

そもそもIT業界は専門性が高く、また、とても幅広い業務内容となるので、役割ごとに事細かに人材定義されています。
ひと言で「エンジニア」「システムエンジニア」と言っても、本当に様々な役割が包括されているため、説明するのに骨が折れるほどです。
それでも世間では未だに、「システムエンジニアは何でもできる」というイメージがあるのではないでしょうか?
外部から見ると、わかりづらかったり掴みどころがなかったり、何なら専門用語がわからないからイメージしようがない、ということも手伝い、そのようなイメージが先行するのかもしれません。

考え方としては、医師や士業と同じです。
例えば医師であれば、内科医・外科医・小児科医・産婦人科医などに区別されていて、また、内科医の先生は基本的に手術は行わないなど、担当領域が異なります。
IT業界の専門分野もそれと同じであり、システムエンジニアだからと言って全ての領域を網羅しているわけではない。にも関わらず、本来内科医タイプのシステムエンジニアに「手術してください!」と、悪気なくお願いをしてしまう。

そんな信じ難い話が、比較的当たり前に起こってしまっているのが現状です。
そのくらい、この人やこの会社はどのタイプで専門領域は何なのか?が、非常に見えづらく理解もしづらいので、誤解が生じやすい業界になっているのではないか、そんな風に思います。

また、ジョブ型という言葉と共に、プロジェクト型という言葉も多く聞かれるようになりました。こちらもIT業界では、とても馴染みのある働き方です。
そして、プロジェクトで仕事を進める場合は、どんな人材をアサインする必要があるか?を役割ベースで考え、チーム体制を最適化していくため、その役割が担えるスキルを持った人材にお願いすることになります。
つまり、ジョブ型の考え方が自ずと適用される。そのため、IT業界ではジョブ型の働き方が多くなる、そんな構造です。

今後、雇用形態がどうなるか?については、企業ごとの方針によってそれぞれと思われますが、プロジェクト型で働くことが増える=自ずとジョブ型の働き方になっていく、ということは充分に考えられます。

そんな時代に備えて、
個人では、自分の職務を洗い出してみる・これまでの職務経歴を書き出してみる・スキルを見える化する。
企業としては、今後を見据え、本来どのような職務が必要なのか?それぞれどのように人材定義するのか?を検討する。

そんな第一歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか??

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