2024年7月19日。
世界中の空港が混乱に陥った“クラウドストライク事件”を覚えていますか?
マイクロソフト環境に導入されていたセキュリティソフトの不具合が発端となり、
アメリカでは航空各社が相次いで欠航。デルタ航空は2,200便以上が運航停止、損害額は5億ドル超と報じられました。
「サイバーテロかと思った」「まさか“守る側”が原因とは」──。
多くの人が驚く中、dazzly代表の筒井もその日、偶然空港に居合わせていました。
私もその日に空港にいたんです。国内でしたが、乗る予定だった便が遅延していて。
原因がこれだったのかはわかりませんが、“リアルに起きるんだな”と感じましたね。
「プッチンプリンが出荷できない」──国内でも起きている“見えないリスク”
同じような出来事は、国内でも起きています。
今回の話の中で挙げた事例は、江崎グリコのシステム障害による出荷停止のニュース。
4年かけて構築していた基幹システムを4月に切り替えたところ、
障害が発生し、全国の物流センターで出荷が止まりました。
売上は200億円、営業利益で60億円の減少見込みという規模感です。
「プッチンプリンが食べられない」──。
製造機械の故障ではなく、“情報をつなぐシステム”が止まったことで出荷が止まる。
一見デジタルのトラブルに見えて、実際は企業活動そのものに直結する出来事です。
「システムの障害」ではなく、「経営の問題」
システム障害って、言葉の響きが軽いんですよね。
企業にとっては“経営の根幹が止まる”ということなんです。
筒井はこう語ります。
ERP(基幹システム)は単なるツールではなく、「企業活動の土台」。
調達、生産、物流、会計──。すべてがその上で動いています。だからこそ、障害が起きると全社的に影響が広がる。
基幹システムを入れ替えるって、それだけで“経営の一大プロジェクト”です。
それにもかかわらず、“システム担当に任せる”“ベンダーに丸投げ”で終わっていないか。
経営層がどれだけ“自分ごと”としてコミットしていたかが問われます。
なぜ「システム刷新」は失敗するのか
プロジェクトの失敗は決して珍しいことではありません。
その背景には、技術的な不具合以外の要因が多く潜んでいます。
古いシステムを入れ替えるとき、そもそも“何をどう作ってきたのか”を誰も知らないケースがあるんです。
過去の仕様が不明、影響範囲も不明──。
検証やリハーサルを重ねても、本番でしか起きないことがある。
“テスト環境では動いていたのに、本番で止まった”。こうした事例は、現場では珍しくありません。
筒井は、原因を単純な「バグ」や「ヒューマンエラー」に求めすぎないよう警鐘を鳴らします。
単なるミスもあるかもしれませんが、それ以上に“意思決定の遅れ”“リスクへの過信”“責任の所在のあいまいさ”が多い。
それが積み重なって“障害”という形で現れるんです。
DX時代の「経営責任」とは
このレベルの障害が起こるたびに、“他人事”にしていては同じことが起きます。
ITの話ではなく、経営課題なんです。
システム障害という言葉で済ませるのは簡単ですが、そこには「意思決定」「現場理解」「リスク管理」という、企業の根本的な“構え”が問われています。
そろそろ、“ベンダーに任せておけばなんとかなる”時代は終わりです。
自分たちの意思で、自分たちの仕組みを作る。DXとは、そういう“自立の姿勢”そのものなんです。
「システム障害」は、企業の“鏡”である
障害は、単なるトラブルではなく、その企業の構造・文化・意思決定の歪みを映し出す“鏡”です。
DXの本質は、テクノロジーではなく、人と組織の意思にあります。
筒井は最後に、こう言葉を残しています。
システムっていう言葉で軽く聞こえるけど、実際には“経営の心臓”が止まる話なんです。
だからこそ、経営が本気で向き合うべきテーマなんですよ。
システムの問題は、技術ではなく“意思”の問題でもあります。
仕組みを動かすのは人であり、最終的に問われるのは経営の覚悟。
DXの本質は、そこにあります。
株式会社dazzlyの公式Podcast「システム障害による出荷停止の背景にあるものは何か?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
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Podcast:

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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部
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