新年度の始まりとともに、ある市の手続きサイトがリニューアルされました。
色使いやレイアウトが改善され、文字サイズも読みやすく調整されており、これまで探しづらかった情報がすぐに見つかるようになっています。
ページを眺めているうちに、離乳食教室の申込ページを発見。存在自体を知らなかったサービスに出会えたことで、「市がこんな公共サービスをやっているのか」という気づきがありました。
見やすさは、単なる快適さではなく、「もっと見てみよう」という行動のきっかけを生み出します。
「UIを変えるだけで、これまでたどり着けなかった情報にアクセスできるようになる。市の職員の方にとっても、きっと嬉しいことだと思います」(筒井)
UI(ユーザーインターフェース)の改善は、UX(ユーザー体験)そのものを変える力があります。
利用者の「どこを押せばいいの?」という迷いや、探しても見つからないストレスを減らすことが、結果としてサービスの価値を引き出すのです。
組織を音楽にたとえると──オーケストラ型とジャズ型
筒井が持ち出したのは、組織のあり方を音楽にたとえた「オーケストラ型チーム」と「ジャズ型チーム」という概念です。
30年ほど前のリーダーシップ論文で紹介されたもので、筒井は新人時代、上司からこの言葉を聞いて初めて知ったといいます。
オーケストラ型は、一人の指揮者を中心に全員がその指示に従い、統一された演奏を行います。
役職や階層が明確で、情報や指示は上から下へ流れる。整然として美しい組織運営のかたちです。
一方、ジャズ型は各メンバーがその場でアイデアを出し合い、即興演奏を交えながら楽曲を作り上げます。
個々の音は異なっても、最終的には一つの曲としてまとまり、聴き手に心地よさを与えます。
「オーケストラ型は統制の美しさがあり、ジャズ型は多様な個性が響き合う面白さがある。それぞれに良さはあります」(筒井)
弊社がジャズ型を選ぶ理由
現代は、変化が激しく、正解が見えにくい時代です。
「指揮者が全てを決め、その通りに動く」オーケストラ型では、一人の判断だけに依存してしまい、変化に対応できないリスクがあります。
「各メンバーが考え、自分のパフォーマンスを発揮できる体制こそ必要だと考えています」(筒井)
この考えの背景には、筒井の原体験があります。
エンジニアとして劣等生だった新人時代、上司にこう言われました。
「同じタイプの人間ばかりでは新しい価値は生まれない。自分の個性を出し、それを価値創造につなげられる人になりなさい」
当時は実感が湧かなかったこの言葉も、さまざまなプロジェクトを経験する中で、その意味を理解するようになったと筒井は言います。
異なる立場・価値観を持つ人と協働することで、新しい発想や価値が生まれる──それがジャズ型チームの本質です。
多様性が生む“心地よいハーモニー”
ジャズ型のチームは、表面的にはバラバラに見える瞬間があります。
メンバーごとにやり方も考え方も異なり、即興的な動きも多い。しかし、それぞれの演奏がゴールや目的に向かって融合し、最終的には一つの楽曲として仕上がります。
「全員の音が違っても、最終的に一つの楽曲になる。それがジャズ型の強みです」(筒井)
この“心地よいハーモニー”は、事前に全てを決めたから生まれるのではなく、各自の持ち味を尊重し合いながら作られるものです。変化が常態化した時代にこそ、こうした多様性の力が求められます。
まとめ
あなたのチームは今、どちらの型に近いでしょうか?
指揮者の指示に従うオーケストラ型か、即興で響き合うジャズ型か。
変化への対応力や新しい価値創造に課題を感じているなら、今こそ“型”を見直すタイミングかもしれません。
一緒に、あなたの組織に合ったチームのかたちを探してみませんか?
この記事は、株式会社dazzlyの公式Podcast「これからの時代に求められるチーム・組織の形とは?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
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Podcast:
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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部
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