「1人1人に向き合うマネジメントが大切だ」
そう言われる一方で、現場からは「正直、負荷が高すぎる」「時間が足りない」という声も少なくありません。
部下一人ひとりと向き合えば向き合うほど、マネージャーの仕事は増えていくように見える。
この感覚は、本当に正しいのでしょうか。
本記事では、株式会社dazzly代表・筒井が語る「1人1人に向き合うこと」と「過干渉」の違いを手がかりに、これからのマネジメントの考え方を整理します。
「1人1人に向き合う=マネジメント効率が下がる」は本当か
多様性が重視される時代になり、「人に向き合うマネジメント」が求められるようになりました。
一方で、部下が10人いれば10人分の1on1が必要になり、これまで発生していなかった時間が確実に増える。
この点について、筒井は次のように捉えています。
時間だけを切り取ってしまうと、確かに負荷は増えているように見えると思います。
しかし、重要なのは「今かけている時間」ではなく、その時間をかけなかった結果、何が起きているかです。
「逆算で考えるマネジメント」
筒井が提示する視点は、結果からの逆算です。
- 今、部下は期待通りのパフォーマンスを発揮しているか
- 現場で無用なトラブルや揉め事は起きていないか
- 本来防げたはずの行き違いが、繰り返されていないか
もしこれらが起きているのであれば、それは「向き合う時間を取らなかった結果」とも言えます。
個々の時間を投資することで、後々起きる問題が減るのであれば、それは投資に近い考え方です。
1人1人に向き合うことは、“今を楽にするため”ではなく、将来の負荷を減らすための選択だと筒井は言います。
「向き合う」と「細かく見る」はまったく違う
ここで混同されやすいのが、「1人1人に向き合うこと」と「細かくフォローすること」です。
筒井は、この違いをマイクロマネジメント(過干渉)という言葉で説明します。
- いつやるのか?
- もう調べたのか?
- 大丈夫なのか?
こうした逐一の確認は、一見すると親切に見えますが、相手の判断や成長の機会を奪ってしまうこともあります。
この構造は、子育てにおける「過干渉」と非常によく似ています。
失敗する機会を奪ってしまうと、結果的に成長が止まってしまうんですよね。
仕事の現場でも同様で、すでに独り立ちしている人にまで過干渉をしてしまうと、主体性や信頼関係が損なわれていきます。
「見ていない」のではなく、「見えなくなっている」だけ
リモートワークの文脈で出てくる、
- カメラを常にオンにしてほしい
- 何をしているか分からない
といった声について、
本当に“見ていない”のでしょうか。実は、何かしらは見ていると思うんです。
と筒井は話します。
1人1人と対話を重ねていくと、
- この人はこういう個性がある
- ここで反応が薄いのは、現在地がここだから
- この期待値は、少し高すぎるかもしれない
といったことが、徐々に見えてくる。
見えないから管理を強めるのではなく、理解を深めることで、見るポイントが変わっていきます。
マネジメント方針は「把握」ではなく「更新するもの」
筒井が強調するのは、「最初から1人1人を完璧に把握しようとしなくていい」という点です。
今見えていることをきっかけにして、そこから深めていく。
深めることで、また新しく見えてくるものがある。
このプロセスを繰り返すことで、
- その人への期待値
- 現在地
- そのギャップ
が明確になり、その人に合ったマネジメント方向性が対話を通じて見えてきます。
※1on1という取り組みそのものについては、「効果的な1on1面談とは何か?」をテーマにした前回の記事で詳しく整理しています。
【関連記事】 効果的な1on1面談とは?「部下へのインタビュー」という考え方

「向き合う」は、管理を強めることではない
1人1人に向き合うマネジメントは、管理を強めることでも、干渉を増やすことでもありません。
相手の現在地と特性を理解し、期待値を調整し続けること。
その積み重ねが、結果的にマネジメントの負荷を下げ、組織をスムーズに動かしていきます。
筒井が語るのは、「向き合うこと=重くなる」という思い込みを、手放すための視点でした。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「一人ひとりに向き合うとマネジメント負荷が高まる、は本当?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
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Podcast:

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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部
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