「魂を込めた1つの目標」──社内ルールを超えて向き合ってくれた上司の話

ChatGPTの登場から、わずか数カ月。
横須賀市では文章作成や議事録要約、政策立案に活用する試験運用を開始。埼玉県戸田市でも会議資料やLINEと組み合わせた問い合わせ対応を試すなど、地方自治体での導入事例が次々と報じられています。
FAXやフロッピーディスクが現役の自治体もある中で、このスピード感は驚くべきものです。
このような動きに対して筒井はこう話します。

「新しいツールが出たらまず試そう、という文化や土壌があったからこそ、素早い導入ができたのではないでしょうか」

行政に限らず、企業でも同じことが言えます。
業務効率化や人手不足の解消という共通の目的意識があり、それが現場だけでなく経営層まで浸透している組織ほど、新しい試みに踏み出すスピードは速くなります。

目次

会社のルールよりも本人に向き合った上司の判断

そんな「変化を恐れず試す文化」の話題から、筒井が語ったのは、自身が受けた忘れられない上司のエピソード。
テーマは「目標設定面談」です。

実は、この話は前回紹介した「意味のない目標は立てるな──新人時代に出会った、向き合うことを諦めない上司」の続編。
前回は新人時代、目標設定が苦手な筒井に根気よく付き合い、「本人が納得できる目標」にこだわった上司Kさんの話でした。
今回は、それから数年後に出会った別の上司Sさんとの面談です。

「目標は1個でいい。ただし魂を込めなさい」

前職時代、筒井は毎年の目標設定が大の苦手でした。
会社のルールでは目標は3つ書くことになっていましたが、面談の場でこう言い切ります。

「1個しか書けません」

評価制度の仕組み上、3つ書くことは合理的です。1つだけだと、その目標を達成できなかった場合に評価が大きく下がってしまう恐れがあるからです。
それでも筒井は「無理です」と譲らず、2つでもなく1つだと主張しました。

そのときの上司Sさんは、筒井のやり取りを受け止め、こう答えました。

「そこまで言うなら1個でいい。その代わり、その1個には魂を込めなさい」

社内ルールを鵜呑みにして押し付けるのではなく、筒井の思いや背景に耳を傾けたうえでの判断でした。
「なぜ書けないのか」「何を嫌がっているのか」といった根っこの考えや思いに寄り添い、本人が納得できる形で進める道を選んだのです。

筒井はこの対応を「私個人と真正面から向き合ってくれた出来事」として、今でも鮮明に覚えているといいます。

モチベーションを守る向き合い方

もしこのとき、「ルールだから3つ書け」と押し切られていたら、モチベーションは大きく削がれていたかもしれません。
しかし、上司は形だけのアリバイ作りではなく、「本人のためになり、最終的には組織のためになる方法」を選びました。

「あのときの経験で、人と向き合うことの大切さを強く学びました。私にとっても、その後の仕事への向き合い方に影響を与えてくれた出来事です」

まとめ

ルールや制度は、組織を運営する上で必要不可欠です。
しかし、それをただ守らせるだけでは、人の力は十分に引き出せません。
時にはルールの形を変えてでも、相手の状況や思いに寄り添う──それが、メンバーのやる気と成果を引き出すマネジメントにつながります。

あなたの組織では、ルールが目的化していませんか?
本当に大切なのは、目の前の人にとって何が最善かを考えることかもしれません。


この記事は、株式会社dazzlyの公式Podcast「良い上司の条件とは?~目標面談での出来事2~」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。

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Podcast:

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019.良い上司の条件とは?~目標面談での出来事2~ ポッドキャストのエピソード · DX時代の勝ちに行く組織マネジメント · 2023/06/06 · 14分

Spotify:

出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部

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