「対立」と聞いて、ポジティブな印象を持てる方はどれくらいいるでしょうか。
多くの職場では「波風を立てずに仲良くやろう」が暗黙のルールになっています。
しかし、その”仲良し前提”こそが、チームの機能不全を引き起こしている可能性があります。
二人以上の人が集まれば、意見の違いは必ず生じるもの。対立を避けるのではなく、どう向き合い、どう活かすかが問われています。
対立は「あって当然」のもの
筒井は、まず「対立」に対する前提そのものを問い直しています。
「チームに対立があってはいけない」という、なんとなくそういう前提を持ってしまうと思うんです。
みんな仲良くやろう、いさかいなんかやめよう、みたいな感じで。
でも、そこにとらわれちゃうと、やっぱりどんどん機能不全になっていくのだと私は思っています。
人が二人以上揃えば、目指すものが違うことも、立場が違えば利害が異なることも、ごく自然なことです。
それぞれが異なる背景や経験を持つ以上、意見の衝突は構造的に発生するもの──筒井はそう指摘します。
立場も違えば、生きてきた道も違いますし、経験も違います。
違ったら違う考えが生まれるに決まっていますよね。
「多様性」と「仲良くしよう」は矛盾している
筒井が特に不思議だと語るのは、多様性を掲げながら対立を避けようとする姿勢の矛盾です。
「多様性の時代だ」と声高に言われる一方で、
「みんなで仲良くやりましょう」と衝突を避けようとする。
その両立には、どこか無理があるのではないかと感じます。
本当の意味での多様性とは、違いがあることを前提に、それぞれが大切にしたい価値観を同じテーブルの上に出し合いながら進めていくことです。
だからこそ、「対立」という言葉が必要以上にネガティブに捉えられている現状には違和感があります。
異なる価値観や前提が存在する以上、意見の衝突は構造的に必ず起こります。
対立は、避けるべきものではなく、多様性が機能している証とも言えるのです。
対立の正体は「前提のズレ」
では、対立が起きたとき、そこでは何が起こっているのでしょうか。
筒井は、対立の多くが「前提のズレ」から来ていると分析します。
会議中に全く異なる角度から意見が出てきた時、その前提のズレに気づくチャンスだったりするんですよね。
意見が噛み合わないとき、感情的にイライラするのは当然のことです。
しかし、筒井はそれを逆に捉えます。
感情的にみんなイライラしているのも、逆に捉えればそれを発見するチャンスになります。
会議で空気が悪くなったとき、多くのリーダーは「ピンチだ」と感じるかもしれません。
しかし、筒井の場合は違います。
「しめしめ、出てきたな~」という感覚です(笑)。
当然、空気が悪い会議とかあるので、嫌だなとは思うことはありますが。
でも、嫌だな、で終わるのも嫌じゃないですか。
もったいないですよね。
「なぜその発言をしたのか」を聞く
対立を発見のチャンスに変えるために、筒井が実践しているのは極めてシンプルなアプローチです。
「あれって、つまりはどういう前提で、そういう発言につながったんですか?」
もしくは、組織の目標が違うからなのかな、個人の好みでこっちじゃない方がいいのかな、のような感じで。
感じることがあるようであれば、そこは普通に問いかけてあげればいいはずです。
筒井自身は、相手の発言の裏にある真意が読めないときは、その場で聞くようにしているといいます。
どういう意図でそれを言ってるんだろう、つまり、その裏に隠れてる真意って何だろう?、ということが読めないときは、その場で聞くようにしていますね。
そして、一人ひとりの前提が明らかになると、周囲の反応も変わります。
そうすると、他の人たちも割と、「あ、そういうことだったんだ、なるほどね」というふうになります。
「だからか…!」という雰囲気になり、ちょっと息巻いていたのがシューっと鎮火する感じです。
感情面でも大きな変化が起きると筒井は言います。
自分と対立する相手を「感じの悪い人」と見ていたのが、相手の立場や背景がわかることで理解が生まれ、そこに歩み寄りの余地が生まれてくるのです。
「違うから以上」で思考停止していないか
弊社がお客様の現場で見てきた中にも、こうした場面は数多くあります。
立場や所属が違うことは頭で理解していても、「この人は別の会社だから」で思考を止めてしまうことがあります。筒井はこの現象をこう捉えます。
皆さん頭では、上司と部下だから、リーダーとメンバーだから、会社が違うから、その違いはわかっているんですが、その違いがコミュニケーションにおいてどういうことに繋がっていくのかというところが、なんだか別物みたいに扱われてしまっているんです。
違うから何なんだ?
違うからどういうことが起こるんだ?
そういったところまでの理解をお互いにできると、全体の目的に向かっていくためにはどうすれば良いのか?考えやすくなるんじゃないかなとは思いますね。
つまり、違いを認識するだけでは不十分で、その違いがどんな影響を生んでいるのかまで踏み込む必要があるということです。
少なくともリーダーやマネジメントする立場にある人は、その理解をしてあげることが求められます。
前提を揃えるためのポイント──「無理に揃えようとしない」
では、前提を揃えるにはどうすればいいのでしょうか?
筒井の答えは、意外なものでした。
無理に前提を揃えようとしないことです。
揃えなくても、何の前提で話してくれてるのかを聞くだけでも良いですね。
本当に揃えたい場合には、筒井は会議の場で一つの工夫をしているといいます。
「〇〇さんはこういう立ち位置ですし、こういう側の意見だと思うんですけど、その立場でどう思うか教えてください」みたいな感じで、その人の置かれている状況や立ち位置などをあえて言葉にした上で発言をしてもらいます。
そうすると聞いている側も、「あ、この人はこの立ち位置で言っているんだな」という風に、受け止めやすくなります。
これはいわば、トーク番組の司会者が出演者を紹介するときの「フリ」のようなものです。
相手の役割や立場を明確にした上で発言を促すことで、聞く側にも文脈が共有され、建設的な議論が進みやすくなります。
まとめ|対立を「設計」するという発想
対立は避けるものではなく、チームに必ず存在する構造です。
重要なのは、その対立をどう扱い、成果につなげるか。
今回の話の中ですぐに実践できる内容をまとめると、次のようになります。
- 前提のズレに気づく──意見が噛み合わないとき、それは前提が違うサインだと捉える。
- 発言の意図を問いかける──なぜその意見に至ったのか、背景を聞くだけで場が変わる。
- 立ち位置を言葉にする──発言者の状況や役割を明示したうえで意見を求める。
- 無理に揃えようとしない──前提を理解するだけでも、チームは前に進める。
「仲良くやろう」と言って対立を蓋で閉じるのではなく、対立の中にある発見を引き出す。
それこそが、成果につながるチームの在り方ではないでしょうか。
記事について
株式会社dazzlyの公式Podcast「成果につながる対立をどう設計するか」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部

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