「課題発見力が大事だ」と言われても、実際に何をどうすればいいのかピンと来ない──そんな声をよく聞きます。
そもそも“問題”と“課題”を同じ意味で使ってしまい、現場で取り組むべきテーマを誤って設定しているケースも少なくありません。
本記事では、「問題」と「課題」の本質的な違いを整理しながら、課題発見力を鍛えるヒントをお届けします。
「問題」と「課題」はどう違うのか
筒井はまず、両者をこう定義します。
問題とは、現状とありたい姿のギャップ。
課題とは、その問題を解決するために主体的に取り組むテーマです。
この違いを理解するために、筒井は野球の例を挙げました。
あるピッチャーが「150kmのストレートを投げたい」という理想を持っていたとします。
現状は140kmしか出ていない。この10kmの差が“問題”です。一方、この差を埋めるために必要なのは「投球フォームの改善」や「下半身の強化」といった具体的な取り組み。これこそが“課題”です。
つまり、問題は“現象”であり、課題は“解決に向けたテーマ”。
両者を混同してしまうと、取り組みの方向性そのものを誤ってしまいます。
すべてを「問題」にしていないか
企業の現場でよく耳にするのが「コミュニケーションが足りない」「職場に活気がない」といった言葉。
一見すると“問題”のようですが、果たして本当にそうでしょうか。
筒井は問いかけます。
ありたい姿や目標との関係で考えたときにギャップがないのであれば、それは単なる事象にすぎます。
例えば、目標が「短時間で集中して成果を出す」であれば、雑談の少なさは必ずしも問題ではありません。
一方向の視点だけで「課題だ」と決めつけるのは、かえって“いらぬ課題”を生み出すことにつながります。
観察力・洞察力がなければ課題は見つからない
課題発見の出発点は「観察」と「洞察」です。
- 偏った視点で見ていないか
- 事象をそのまま問題視していないか
- 別の角度から見たらどう見えるか
筒井はこう指摘します。
偏った視点だけだと、本来の課題を見落とします。
少し引いて、別の角度から観察することが大切です。
例えば「挨拶が少ない職場」。
ある視点からは「活気がない」と見えるかもしれませんが、別の視点では「集中を妨げないように配慮している」という理由かもしれません。
どちらが正しいかは一概に言えませんが、多角的に観察することで「本当に取り組むべきこと」が浮かび上がってきます。
「課題発見力」を鍛えるために
課題発見力を高めるには、まず「問題」と「課題」を明確に区別できるようになること。
次に、観察力・洞察力を磨き、現象を“課題にするかどうか”を見極めることです。
- 問題=現状と目標のギャップ
- 課題=その問題を解決するための主体的テーマ
この基本を押さえずに取り組むと、組織は「本当はいらない課題」に追われてしまい、リソースを浪費します。
まとめ|本当にそれは“課題”か?
- 問題と課題は別物
- 事象をすべて課題にしてはいけない
- 課題発見には観察力と洞察力が不可欠
課題発見力とは、特別なスキルではなく「正しく見極める姿勢」です。
あなたの現場で取り組んでいることは、本当に課題でしょうか?
株式会社dazzlyの公式Podcast「本質的な課題発見・問題解決をするためには?」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
ITツールの活用やDX推進に関する課題やお悩みがあれば、お気軽に弊社までご相談ください。
▶︎株式会社dazzly ホームページ
Podcast:
Spotify:
出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部
コメント