IT企業に17年間勤めた筒井が振り返るのは、「良い上司」に恵まれた経験です。
今回紹介するのは、新人時代に受けた目標設定面談での出来事。
それは、筒井にとって意味のある目標にこだわり、時間を惜しまず向き合ってくれた上司Kさんの話です。
目標設定が“苦手”だった新人時代
今では多くの企業が取り入れている、MBOや目標管理などともいわれる「目標設定面談」。
会社や事業部の方針に沿って、個人の目標を立てる──筒井が新人の頃、前職でもこの制度が始まりました。
ところが、筒井にとってこの面談は苦手以外の何ものでもありませんでした。
- 会社の目標自体が理解できない
- 自分が何をしたらそこに結びつくのかもわからない
- やりたいことが明確になっていない
当時のルールでは「自分で目標を3つ立てる」方式でしたが、頭には何も浮かばなかったといいます。
周囲の技術職の仲間たちは「スキル習得」や「資格取得」をさらりと書いていましたが、それすらも思いつかない状態でした。
白紙で臨んだ面談
何も思い浮かばないまま迎えた面談の日。
事前に目標シートを記入するはずが、筒井は白紙のまま持参しました。
「怒られるかな」と思いきや、Kさんはまず理由を尋ねました。
「今、何を考えているのか?」
筒井は正直に「やりたいことも浮かばないし、会社の目標にも結びつけられない」と答えました。
Kさんはそれを聞いて、こう言いました。
「まず全部捨てなさい。素の自分で考えたとき、やりたいことは何かあるだろう。」
“仕事と関係ない”ことから始まった
次回の面談までに考えてきたのは、本を読みたい、体験してみたい──そんな仕事と関係ないことばかり。
それを二、三行のメモにして持って行ったところ、Kさんは笑顔でこう言いました。
「書けたじゃないか。やりたいことはあるだろう?」
やりたいことがないわけではない。そこから始めればいい──Kさんはそう教えてくれました。
意味のある目標にこだわる
Kさんはその延長で「じゃあ、それをきっかけに目標を立ててみないか?」と提案します。
筒井が「時間がかかるけどいいですか?」と聞くと、「そんなもの、いくらでも付き合う」と即答してくれたといいます。
「会社がこう言っているから」ではなく、本人が納得できる目標にしろという信念を貫いた面談でした。
本人にとっての意味があるからこそ動ける
形だけの目標を作ることは簡単です。
しかし、それは本人の行動や成長につながらない──Kさんはそう考えていました。
「個人にとって意義があるものでなければ、目標設定面談なんてやらなくていい」
その言葉通り、Kさんは制度よりも「人」を優先しました。
筒井は今でもこの面談を思い出すたびに、感謝とともに「向き合うことの大切さ」を再確認するといいます。
まとめ
制度やルールは、形だけ整えても意味がありません。
本当に大切なのは、本人にとって意味があるかどうかです。
そこにこだわり、時間を惜しまず向き合う姿勢が、メンバーのモチベーションを守り、成長につながります。
あなたの組織の目標設定面談は、「形のため」になっていませんか?
本当に意味のある目標を、一緒に見つけられていますか?
この記事は、株式会社dazzlyの公式Podcast「良い上司の条件とは?~目標面談での出来事~」での対話内容をもとに、DX推進や組織マネジメントを考える皆さまに向けて再構成したものです。
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出演:筒井千晶(株式会社dazzly 代表)
インタビュアー:土井
編集・構成:dazzly編集部
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